[→鋏角類目次] [→蜘蛛目次] "! ■■■ 2018年4月29日 ■■■ 戸立蜘蛛危ないぞ! 跳ね蓋開けば 地獄行き 後部に体節のなごり的様相が見てとれるし、土中で餌のやってくるのを待ち構えており、糸を用いて網を張るまでに至っていないとはいえ、糸の利用は進んでいるし、一般の蜘蛛らしさとの要件も満たしているように思う。 もっとも、糸に関しては、出糸量や網張り技術よりも重要なのは、糸の特性だと思う。 どのような生活なのかよくわからないが、夜間狩猟者なら、獲物感知用に地表の苔や泥に付着するような糸が張ってあるに違いなと思われる。ピピンと当たりがきたら、すかさず蓋を開けて跳びかかると見てよいだろう。 つまり、紡糸技術を磨く方向で生きていこうとの決断をしたことが読み取れる種ということになる。食に関しては、牙を餌に挿して神経毒注入と同時に唾液のような消化液を注入して、肉汁を啜るということに特化した訳である。 後は、餌の対象に応じて牙や毒の調性が図られると共に、生活の様々な場面での糸活用の道を探ることになる訳だ。 単眼8ツで脚の先の爪は3ツという基本形もここで決まったと言ってよいだろう。 抜け作に 照準合わせた スナイパー 糸の利用方法の洗練という点では、すでに地蜘蛛の存在でその流れが読み取れる。基本構造としては地中に掘った穴の壁面裏打ちの筒状網とも考えられる訳だが、その筒網を地上部に出した訳である。 当然ながら、その網の上を歩いた餌は内側から喰いつかれ、網が破られて中に引きづり込まれる訳だ。 住宅地とは生垣とU字構という時代、地蜘蛛はウジャウジャ棲んでいた。袋をそっと引き上げると、中から太った大人しい蜘蛛がピョンと登場したもの。今はさっぱり見かけない。 腹節蜘蛛は、水が入らぬ横穴生活で、突然蓋を開けて餌に跳びかかる方式の狩猟だった。中疣から出糸するが、糸の主用途は偽装的な扉作りだ。 それと比べると、地中棲と言う点では同じだが、竪穴棲の上に糸は狩猟道具と化しており、ある意味画期的である。尻から糸を大量に出すことで、新しい住環境に適応bでき、生活パターンも一変させることに成功した訳である。 コレ、ストーリーとして描きやすい展開。いわば、魚の肉鰭類が陸上進出に当たって、肺呼吸と足が必要になったという論旨で語れるから。それはそれ大いに結構だが、科学的に語ろうという場合はこの手の言い回しは避けるべき。 正確に語るなら、"海棲"魚に肺や足が生まれたのであって、それは"陸棲を狙った"進化ではないからだ。海棲種に変異が発生し、それが優位になるような生き方が見つかっただけのこと。新しい生き方を発見できなければ、種として発展することはなく、大勢のなかの稀有な異常として消滅していくのみ。逆に、従来型では生きずらい場を見つけたりすれば、ある方向の変異が急激に進む訳で、一気に新種が激増することになろう。その変異確立がせいぜい0.01%ですぐに見えない程度であっても、何万年もの複利計算ならその存在が見えるようになり、優位精が発揮できる環境では生殖によって、「種」として確立していくことは自明だからだ。 当然ながら、強烈な淘汰圧力がかかっていれば新天地発見に繋がり易かろう。 腹節蜘蛛は横穴に適した地以外には棲めそうにない訳で、繁栄すると穴だらけでどうにもならなくなる訳で、進化は必然。ただ、変異の発生で糸の種類は増えたろうが、だからといって戸立蜘蛛や地蜘蛛が必然的に生じる訳ではなかろう。新天地発見は間違いなく、偶然である。必然性はあるが、その発生は偶然生じることになる。淘汰圧力がかかっていれば、その偶然が発生する確立は高まるというだけ。 シナリオとしてこれを描けば、淘汰圧力の結果、それに合うような変異が生まれ、新しい生物群に進化したとなる訳だ。 鋏角類 《蜘蛛 Araneae》 │ │┼┼中疣…出糸疣が腹の中ほどに存在 │┌──【古代風 Mesothelae】 ││┼┼◆Liphistiomorpha 腹節蜘蛛と木村蜘蛛を代表とする群 └┤ ┼│┌─【原始的 Orthognatha】…真っ直ぐの牙顎類 ┼││┼◆Mygalomorphae ┼││┼┼┼│┌─《Fornicephalae 戸立蜘蛛と地蜘蛛を代表とする群》 ┼││┼┼┼└┤ ┼││┼┼┼┼└─《Tuberculotae 漏斗蜘蛛とタランチュラを代表とする群》 ┼└┤後疣…出糸疣が腹の後端に存在 ┼┼│ ┼┼└─【新生型 Opisthothelae】…二軸鋏型牙類(Labidognatha) ┼┼┼┼◆Araneomorphae 【原始的蜘蛛類Orthognatha】…真っ直ぐの牙顎類 (後疣…出糸疣が腹の後端に存在) ◆Mygalomorphae 《Fornicephalae 戸立蜘蛛(螲蟷) Trap door spiderを代表とする群》 -Atypidae Purseweb spider or Atypical [3爪,8眼] ○Atypus・・・ジグモ類【地中棲-樹木根元-穴袋】 地蜘蛛(karschi) ○Sphodros Red legged purseweb spider(rufipes) -Calommatidae [3爪,8眼] ○Calommata・・・ワスレナグモ類@比較的乾燥地【地中棲-掘穴無扉】 勾忘蜘蛛(signata) -Antrodiaetidae Folding trapdoor spider【地中棲-掘穴両開扉付】 [3爪,8眼] ○Antrodiaetus・・・カネコトタテグモ類@米国と日本のみ 金子戸立蜘蛛(roretzi)@本州 蝦夷戸立蜘蛛(yesoensis)@北海道 (pacificus)@太平洋北西沿海地域 California turret spider(riversi) (microunicolor)@北米 -Cyrtaucheniidae Wafer trapdoor spiderモサトタテグモ ○Amblyocarenum Nuragic spider(nuragicus)@サルデーニャ -Idiopidae Armoured trapdoor spiderカワリトタテグモ ○Idiosoma Black rugose trapdoor spider(nigrum)@豪州南西部 -Ctenizidae Cork-lid trapdoor spider [3爪,8眼] ○Latouchia・・・トタテグモ類【地中棲-掘穴片開き扉付】 八重山戸立蜘蛛(hula) 宮古島戸立蜘蛛(japonica) 沖縄戸立蜘蛛(swinhoei) 岸之上戸立蜘蛛(typica)…蜘蛛茸に寄生されることで有名 ○Conothele・・・キノボリトタテグモ類 木登り戸立蜘蛛(fragaria)【樹皮内穴棲-偽装扉付】 ○Cyclocosmia 尻切戸立蜘蛛 Cap spider(ricketti)@インドシナ半島〜中国東南部…尻で蓋 ○Stasimopus Red-leg trapdoor spider(robertsi)@南アフリカ (mandelai)@南アフリカ -Euctenizidae Cork-like trapdoor spider ○Aptostichus (simus)@米国,メキシコ オバマ戸立蜘蛛(barackobamai)@米国 ボノ戸立蜘蛛(bono)@米国 -Actinopodidae Mouse-spiderヤノテグモ ○Missulena@豪州 ▲毒 -Migidae Tree trapdoor spiderアゴマルトタテグモ -Barychelidae Brush-footed trapdoor spiderヒラアゴツチグモ ○Sason (sundaicum)@マレーシア,タイ -Nemesiidae Tube trapdoor spiderイボブトグモ ○Aname Black wishbone spider(atra)@豪州 「鋏角類」の目次へ>>> 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |