[→鋏角類目次] [→蜘蛛目次] "! ■■■ 2018年5月6日 ■■■ 天道虫スパイダー吾輩は 天道一家の メンバーぞ この紋どころ 目に入らぬか 欧州では美形の蜘蛛ということでえらく人気があるようだ。 絶滅危惧となれば、大いに増やそうではないかと短絡的な動きがでてしまうほど。 →"Rare ladybird spiders released in Dorset" By Daniel Boettcher BBC News 11 August 2011 ご存知のように、天道虫は捕食から逃れるため、危険を感じたらすぐに黄色アルカロイド液体を分泌する。捕獲者が口にすればすぐに吐き出さざるを得ない手の薬物。 そんな生物であることを一目で分別してもらえるように選んだのが、矢鱈に目立つ赤黒斑紋の意匠。蜘蛛君は、後部をそれに似せたのである。 マ、完成度高い物真似をする必要もないから、たいした作品ではないが。 どういう訳か、和名はいたって地味。 日本では、類縁の"社会性"を発揮している種の方に関心が集まりがちだから、"しっとり"した名前の方が喜ばれるのかも。 ただ、集団で網を張るとはいえ、昆虫族の蟻や蜂のように任務分担や生殖上のランク付けまでは進めたくなかったようだ。しかし、紛れもなき共同体生活者なのである。 その辺りの感興が美に昇華されたりもするようである。・・・ [PHOTO→]トマス・サラセーノ「孤立性、社会性、準社会性のハイブリッドな楽器『三角座』: 1匹のシロホシヒメグモ(10日間)、イワガネグモ科のクモの小共同体(4ヶ月)、2匹のオワレスズミグモの子(2週間)によって制作されたもの(仮題)」(2014年)@札幌芸術の森美術館 (C) Nikkei, Inc. だが、世間一般的には、ビックリさせられる"社会性"とはそのようなものではない。・・・ →「お母さん,あなたを食べていい?〜日経サイエンス2015年12月号より」 (C)NIKKEI SCIENCE Inc. 考えてみれば、子育てを完了すると死んでいく生物は少なくないから、末期に近づいた自分の身体を子供の餌にすることは結構合理的。ヒトの感覚からすれば大変なことに映るが。 それにしても、母親を喰うというのに、稚蜘蛛同士は共食いしないのが不思議。そんな仕組みをどうやって作り上げているのだろう。 部屋の隅 目障りディスク 排除され 塵と間違えそうな小さい蜘蛛だが、それに合わせた小さなディスク状の網を張る。 しかし、獲物捕獲よりは自分の巣の延長のベランダのようなもの。実態としては"獲物来たゾ"感知網かも。 基本的捕獲方法は、獲物に軽く咬み付いたりしながら、糸を出してグルグル巻きにしてしまうやり方。神経毒が弱いのであろう。 動けなくしたら、抱えて巣に戻り、長時間に渡ってじっくりご賞味致そうという訳。 造網タイプではあるものの、徘徊して生活しているようなもの。 扁蜘蛛も、同じような習性。壁でチョコマカ動くタイプである。 獲物を糸でがんじがらめにするヒラタグモ Uroctea compactilis by kiokuima@YouTube 2016/04/30 これらの蜘蛛は、大陸では昔からよく観察されていたようで、糸の丈夫さが知られていたようである。造網した巣を採って、傷口に当てるパッチとして使用していたようだ。名称は「壁銭」の筈だが、扁蜘蛛の別名として紹介されることが多い。 もっとも、蜘蛛を潰した汁が鼻血等の止血剤として使用されたらしい。はたして、そんな微量の生理活性物質が効くのだろうか。 出会ったら 絡め撮られて あの世行 肛門と間違えそうな箇所に二尾あり。出糸用の疣が矢鱈に発達しているのだ。 ただ、せいぜいが1cm程度のサイズで、熱帯性類縁種でも2cmには達しないのでそれほどの異様感はない。と言うより、たいがいが全身緑褐色であり、いかにも地衣類が表面に付着し樹皮の擬態様相。実際、完璧に背景に溶け込んでいるから居るのか居ないのかすぐには分からない。 この蜘蛛だが、小さな塵蜘蛛のように網を拠点にするつもりがないようだ。もっぱら徘徊していると言う。にも拘わらず、歩脚の爪は2ツではなく、造網に適した3爪。ナンダカネ。 だが、徘徊と言っても蜘蛛dから、活発にあちらこちら歩き回っている筈がなく、獲物がやって来そうな場所でじっと待ち構えているのが常態では。 餌を見つけたら、早速、狩にとりかかる訳だが、尻を向け疣から糸を繰り出して餌をグルグル巻きにするようだ。それが完成したら後はじっくりと賞味することになる。 上記の類縁とは信じがたい特徴だらけだが、一括りにされた理由は調べていない。どの所属にしても居心地悪しという訳でもなさそうだが。 鋏角類 《蜘蛛 Araneae》 │ │┼┼中疣…出糸疣が腹の中ほどに存在 │┌──【古代風 Mesothelae】 ││┼┼◆Liphistiomorpha 腹節蜘蛛と木村蜘蛛を代表とする群 └┤ ┼│┌─【原始的 Orthognatha】…真っ直ぐの牙顎類 ┼││┼◆Mygalomorphae ┼││┼┼┼│┌─《Fornicephalae 戸立蜘蛛と地蜘蛛を代表とする群》 ┼││┼┼┼└┤ ┼││┼┼┼┼└─《Tuberculotae 漏斗蜘蛛とタランチュラを代表とする群》 ┼└┤後疣…出糸疣が腹の後端に存在 ┼┼│ ┼┼│↓脱地中穴棲 ┼┼│ ┼┼└─【新生型 Opisthothelae】…二軸鋏型牙類(Labidognatha) ┼┼┼┼◆Araneomorphae ┼┼┼┼┼┼└┬─《Paleocribellatae 古篩板類(単性域類有篩板)》 ┼┼┼┼┼┼┼│ ┼┼┼┼┼┼┼├─《Austrochiloidea》<Neocribellatae新篩板類>基底的群 ┼┼┼┼┼┼┼│ ┼┼┼┼┼┼┼│┌《Haplogynae 単性域類篩板退化》…性器単純 ┼┼┼┼┼┼┼└┤ ┼┼┼┼┼┼┼┼└《Entelegynae 完性類》…性器複雑 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼↓ ┌──────────┘ ├【Eresoidea】 │┼┼┼┼┼┼┼┼Eresidae 岩ガ根蜘蛛 │┼┼┼┼┼┼┼┼Oecobiidae 塵蜘蛛,扁蜘蛛 │┼┼┼┼┼┼┼┼Hersiliidae 長疣蜘蛛 │ ├【Palpimanoidea】 │┼┼┼┼┼┼┼┼Mimetidae 戦捷蜘蛛 │┼┼┼┼┼┼┼┼Malkaridae │┼┼┼┼┼┼┼┼Huttoniidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Palpimanidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Stenochilidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Micropholcommatidae 星蜘蛛 │┼┼┼┼┼┼┼┼Holarchaeidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Pararchaeidae 夜叉蜘蛛 │┼┼┼┼┼┼┼┼Archaeidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Mecysmaucheniidae │ └【"canoe tapetum"カヌー型タペータム】 【新生型蜘蛛類 Opisthothelae】 (後疣…出糸疣が腹の後端に存在) ◆Araneomorphae 《Entelegynae 完性類》 【Eresoidea】 -- -Eresidae Velvet spider 【造網】[有篩板] [3爪,8眼] ○Eresus・・・イワガネグモ類(Eresid spider) Ladybird spider(sandaliatus)@欧州…♂後部天道虫擬態 ♀大柄全黒 岩ガ根蜘蛛(cinnaberinus)@欧州 乾燥砂地 ○Stegodyphus 群岩ガ根蜘蛛(ineatus)@イスラエルネゲブ砂漠…母親食(内臓自発分解) (sarasinorum)@南アジア…社会性種族(数百匹が灌木に数m四方の造網) -- -Oecobiidae or Urocteridae Disc web spider or Dwarf round headed spider 【造網-ディスク状】[有篩板] [3爪,8眼] ○Oecobius・・・チリグモ類 塵蜘蛛(annulipes & navus)…両者とほとんど同じ (civitas)…社会性(共同網) ○Uroctea・・・ヒラタグモ類 扁(or 平)蜘蛛(compactilis) 黒戸扁蜘蛛(durandi) -Hersiliidae Tree trunk spider or Two-tailed spider 【徘徊】 [3爪] ○Hersilia・・・ナガイボグモ類 長疣蜘蛛(savignyi)@八重山 沖縄長疣蜘蛛(okinawaensis) 八重山長疣蜘蛛(yaeyamaensis) (audron)@豪州 ○Tamopsis Long spinneret bark spider(brisbanensis)@豪州 「鋏角類」の目次へ>>> 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |