[→鋏角類目次] [→蜘蛛目次] "! ■■■ 2018年5月26日 ■■■ 狼スパイダー牙技で 狼越える 凄さかな 狼スパイダーは、「ファーブル昆虫記」Souvenirs entomologiques, 1903の"黒腹タランチュラla Tarentule à ventre noir(=ナルボンヌの狼蜘蛛la Lycose de Narbonne)"飼育・観察記録(@平型植木鉢)で有名。(新大陸棲息のタランチュラとは無縁。名称発祥元の欧州の種名である。) 現在の名称は子守蜘蛛。 ヒト毒性無しの筈だが、ローマ帝国時代に徘徊系大型蜘蛛形類として毒蜘蛛とされていたようだ。(ナルボンヌは伊〜西の間の海運上の要衝の地で、プロバンス・ランドック辺り。) 内容的にはこんなところ。・・・ 2巻11章<急所を牙で一噛し毒殺> 実験で噛ませた雀や土竜がしばらくして死亡。 8巻23章<卵を入れた袋を最後部にぶら下げ運搬> 9巻_1章<南仏石灰岩質荒野の地面での巣穴削掘の様子> 地表には穴蓋を作ったりしながら、瓶口状塔を造成 しかし、若年時は放浪生活者。 9巻_2章<母親は背中に子蜘蛛の群れを載せて移動> 食餌無しで、良好環境へ移動生活。 (変温動物なので、太陽の恵みが必要であり、それを求めて母蜘蛛は移動するのだろう。) A l'aide d'ingénieux appareils, elle nous infuserait notre ration d'énergie solaire, dépensée après en mouvement. Où se remonterait la machine sans le secours, souvent pénible, de l'estomac et de ses annexes ? Ah ! le délicieux monde, où l'on déjeunerait d'un rayon de soleil ! 9巻_3章<子蜘蛛は木登り後に出糸し飛翔。> 春先の上昇気流で展開。 ファーブルの卓越している点は、子守をしているが、それはヒトが考える母性というようなものではなく、知性の欠片もない、組み込まれている本能としてのプログラムに沿って活動している点を実証したこと。 この記録でわかる通り、成体は土中棲。生殖期以外はそこから離れることはない。穴口付近にたまたま近寄ってきた獲物を仕留めて生活しているのだ。穴蓋が造られることもあるが、それは即日壊され、穴口を高くする材料と化す。造成スピードがゆっくりだからとりあえず蓋の形状にしておくのだろう。 もちろん捕獲網は造らないし、徘徊狩猟も行わないのである。その辺りだけ見れば、蜘蛛への分岐基底部の種である戸立蜘蛛とよく似た習性と言えよう。 しかしながら、若い成体はすぐに穴掘りを始めず、とりあえず徘徊狩猟を行うから、完璧な徘徊性。成熟すると、穴掘りを始める訳で、穴が完成するとその地に定住するようだ。 それに、産卵後は卵農をつけて歩くし、孵化すると子供達を背に乗せて日光浴をするなど、暗所棲者体質という訳ではなさそうである。 習なんといっても圧巻は、幼体が風に乗って遠くに飛んで行く習性。戸立蜘蛛の棲息領域拡大は微々たるスピードだが、こちらは一気に広がることになる。 このような点から見て、徘徊種であると言えるが、爪は造網タイプの3本のママ。 鋏角類 《蜘蛛 Araneae》 │ │┼┼中疣…出糸疣が腹の中ほどに存在 │┌──【古代風 Mesothelae】 ││┼┼◆Liphistiomorpha 腹節蜘蛛と木村蜘蛛を代表とする群 └┤ ┼│┌─【原始的 Orthognatha】…真っ直ぐの牙顎類 ┼││┼◆Mygalomorphae ┼││┼┼┼│┌─《Fornicephalae 戸立蜘蛛と地蜘蛛を代表とする群》 ┼││┼┼┼└┤ ┼││┼┼┼┼└─《Tuberculotae 漏斗蜘蛛とタランチュラを代表とする群》 ┼└┤後疣…出糸疣が腹の後端に存在 ┼┼│ ┼┼│↓脱地中穴棲 ┼┼│ ┼┼└─【新生型 Opisthothelae】…二軸鋏型牙類(Labidognatha) ┼┼┼┼◆Araneomorphae ┼┼┼┼┼┼└┬─《Paleocribellatae 古篩板類(単性域類有篩板)》 ┼┼┼┼┼┼┼│ ┼┼┼┼┼┼┼├─《Austrochiloidea》<Neocribellatae新篩板類>基底的群 ┼┼┼┼┼┼┼│ ┼┼┼┼┼┼┼│┌《Haplogynae 単性域類篩板退化》…性器単純 ┼┼┼┼┼┼┼└┤ ┼┼┼┼┼┼┼┼└《Entelegynae 完性類》…性器複雑 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼↓ ┌──────────┘ ├【Eresoidea】 │┼┼┼┼┼┼┼┼Eresidae 岩ガ根 │┼┼┼┼┼┼┼┼Oecobiidae 塵,扁 │┼┼┼┼┼┼┼┼Hersiliidae 長疣 │ ├【Palpimanoidea】 │┼┼┼┼┼┼┼┼Mimetidae 戦捷 │┼┼┼┼┼┼┼┼Malkaridae │┼┼┼┼┼┼┼┼Huttoniidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Palpimanidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Stenochilidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Micropholcommatidae 星 │┼┼┼┼┼┼┼┼Holarchaeidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Pararchaeidae 夜叉 │┼┼┼┼┼┼┼┼Archaeidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Mecysmaucheniidae │ └【"canoe tapetum"カヌー型タペータム】 ┼│ ┼├Orbiculariae 円軌道造網型 ┼│┼├Deinopoidea ┼│┼│┼┼┼┼┼Deinopidae 目玉 ┼│┼│┼┼┼┼┼Uloboridae 渦,招き.扇,投げ縄 ┼│┼│ ┼│┼├Araneoidea ┼│┼│┼┼┼┼┼Araneidae 黄金,鬼,芥,棘,投げ縄 ┼│┼│ ┼│┼└"derived araneoids" ┼│┼┼┼│ ┼│┼┼┼├───Nephilidae 女郎 ┼│┼┼┼├───Tetragnathidae 脚長,銀 ┼│┼┼┼└"reduced piriform/葡萄状腺" ┼│┼┼┼┼┼┼---("symphytognathoids" ) ┼│┼┼┼┼┼┼┼Theridiosomatidae 山路,鳴子 ┼│┼┼┼┼┼┼┼Mysmenidae 小粒 ┼│┼┼┼┼┼┼┼Synaphridae 荒地小粒 ┼│┼┼┼┼┼┼┼Anapidae 鎧姫,砂粒,寄り眼 ┼│┼┼┼┼┼┼┼Symphytognathidae 融顎 ┼│┼┼┼┼┼┼"araneoid sheet web weavers" ┼│┼┼┼┼┼┼┼┼--("linyphioids") ┼│┼┼┼┼┼┼┼Pimoidae ピモ皿,脚縒 ┼│┼┼┼┼┼┼┼Sinopimoidae ┼│┼┼┼┼┼┼┼Linyphiidae 皿 ┼│┼┼┼┼┼┼┼┼"spineless femur" ┼│┼┼┼┼┼┼┼Chatolipidae ┼│┼┼┼┼┼┼┼Synotaxidae ┼│┼┼┼┼┼┼┼Nesticidae 洞姫 ┼│┼┼┼┼┼┼┼Theridiidae 姫,尾長,後家,居候,槍 ┼│┼┼┼┼┼┼┼Chatolipidae ┼│ ┼└Nicodamidae & "divided cribellum" + "RTA" ┼┼├-- ┼┼│┼┼┼┼┼┼Nicodamidae 赤黒 ┼┼│ ┼┼├"titanoecoids" ┼┼│┼┼┼┼┼┼Phyxelididae 棘崖地 ┼┼│┼┼┼┼┼┼Titanoecidae 大和崖地 ┼┼│ ┼┼└"RTA" ♂触肢の後側脛節突起(retrolateral tibial apophysis)保有群 ┼┼┼├Dictynoidea ┼┼┼│┼┼┼┼┼Hahniidae 畠,山畑 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Dictynidae 葉 ┼┼┼├─ ┼┼┼│┼┼┼┼┼Zodariidae 法師,童子 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Penestomidae ┼┼┼│┼┼┼┼┼Chummidae 糸枯法師 ┼┼┼│ ┼┼┼├Dionycha 二爪 ┼┼┼│┼┼┼┼┼-- ┼┼┼│┼┼┼┼┼Sparassidae 脚高,露 ┼┼┼│┼┼┼┼┼-- ┼┼┼│┼┼┼┼┼Anyphaenidae 井筒 ┼┼┼│┼┼┼┼┼-- ┼┼┼│┼┼┼┼┼Homalonychidae ┼┼┼│┼┼┼┼┼-- ┼┼┼│┼┼┼┼┼Clubionidae 袋,小町 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Corinnidae 蜂 ┼┼┼│┼┼┼┼┼(Trachelidae) 猫 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Zoridae 絞擬 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Liocranidae 鼬,田圃 ┼┼┼│┼┼┼┼┼-- ┼┼┼│┼┼┼┼┼Philodromidae 海老,蝦蛄,宿借 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Cycloctenidae 丸絞 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Salticidae 蠅捕,孔雀 ┼┼┼│┼┼┼┼┼-- ┼┼┼│┼┼┼┼┼Selenopidae 袷 ┼┼┼│┼┼┼┼┼-- ┼┼┼│┼┼┼┼┼Thomisidae 蟹,渡蟹,花,行者,安土 ┼┼┼│┼┼┼┼┼-- "Oblique Median Tapetum" ┼┼┼│┼┼┼┼┼(本来的には含有:↑Liocranidae) ┼┼┼│┼┼┼┼┼Lamponidae 尾白鷲 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Cithaeronidae 韋駄天 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Gallieniellidae ┼┼┼│┼┼┼┼┼Trachanteriidae 単衣 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Ammoxenidae ┼┼┼│┼┼┼┼┼Phrurolithidae(↑Corinnidae分離群) 浦島,乙姫 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Gnaphosidae 鷲 ┼┼┼│┼┼┼┼┼Prodidomidae 伊予 ┼┼┼│ ┼┼┼│┌"fused paracribellar" ┼┼┼││┼┼┼├Stiphidiidae ┼┼┼││┼┼┼└ ┼┼┼││┼┼┼┼Agelenidae 草,棚 ┼┼┼││┼┼┼┼Cybaeidae 並歯,水 ┼┼┼││┼┼┼┼Desidae 潮 ┼┼┼││┼┼┼┼Amphinectidae 夜道 ┼┼┼└┤ ┼┼┼┼│┌─┼┼Amaurobiidae 崖地,谷地 ┼┼┼┼└┤ ┼┼┼┼┼│┌─┼Tengellidae(→Zoropsida) ┼┼┼┼┼└┤"grade shaped tapetum"格子形タペータム ┼┼┼┼┼┼└┐ ┼┼┼┼┼┼┼├─Udubidae(Zorocratidae) ┼┼┼┼┼┼┼├"ctenoid complex" ┼┼┼┼┼┼┼│┼Miturgidae 土袋 ┼┼┼┼┼┼┼│┼Ctenidae 絞 ┼┼┼┼┼┼┼├─Zoropsidae 周防,逸 ┼┼┼┼┼┼┼└"higher lycosoids" ┼┼┼┼┼┼┼┼┼Psechridae 襤褸網 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼Senoculidae ┼┼┼┼┼┼┼┼┼Oxyopidae 笹 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼Pisauridae 走,岸田 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼Trechaleidae 差し足 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼Lycosidae 子守 【新生型蜘蛛類 Opisthothelae】 (後疣…出糸疣が腹の後端に存在) ◆Araneomorphae 《Entelegynae 完性類》 【"canoe tapetum"カヌー型タペータム】 Nicodamidae & "divided cribellum" + "RTA" -- "RTA" "fused paracribellar" "grade shaped tapetum"格子形タペータム "higher lycosoids" -LycosidaeWolf spider【徘徊】 [3爪,8眼] ○Lycosa・・・コモリグモ類 子守蜘蛛(tarentula)…旧"タランチュラ"@南欧 ナルボンヌ子守蜘蛛(narbonensis) …"JHFabre:la lycose de Narbonne" 投槍子守蜘蛛(amentata) 磯子守蜘蛛(ishikariana)@砂浜海岸棲…絶滅危惧種 悲しみ子守蜘蛛(lygubris) Garden wolf spider(godeffroy) ○Alopecosa・・・スジコモリグモ類 塵子守蜘蛛(pulverulenta) 筋太子守蜘蛛(virgata) ○Arctosa・・・ミズコモリグモ類 藤井子守蜘蛛(fujiii) 海老茶守蜘蛛(ebicha) ○Paradosa・・・オオアシコモリグモ類 卯月子守蜘蛛(astrigera) 針毛子守蜘蛛(laura) 菊月子守蜘蛛(pseudoannulata)@水田 卯月子守蜘蛛(astrigera) ○Xerolycosa・・・モリコモリグモ類 森子守蜘蛛(nemoralis) ○Piratura・・・ミズベコモリグモ類 南子守蜘蛛(meridionnalis) ○Pirata・・・カイゾクコモリグモ類(Pirate wolf spider) 海賊子守蜘蛛(piraticus) 黄腹子守蜘蛛(subpiraticus)@水田 水辺子守蜘蛛(hokkaidensis) 西表子守蜘蛛(iriomotensis) ○Trochosa・・・キタコモリグモ類 長頭巾子守蜘蛛(aquatica) ○Pardosa・・・オオアシコモリグモ類 ガレ場大脚子守蜘蛛(trailli) 「鋏角類」の目次へ>>> 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |