↑ トップ頁へ |
2003.9.23 |
|
|
焼酎ブーム…日本酒市場は低迷しているが、焼酎市場は活況を呈している。第3次焼酎ブーム到来だ。この流れは、食生活における新しい波といえそうだ。 焼酎市場の変化を少し眺めてみよう。 第1次ブームは、お湯割だった。アルコール濃度が高いブラウンリカーから、自在な濃度で飲めるホワイトリカーへの流れの走りといえる。 それに続く第2次ブームは、酎ハイだった。 これで、低価格コモディティ市場が急速に立ちあがったといえる。この流れは未だに続いている。 何度も蒸留し、無味無臭化したホワイトリカー(甲類焼酎)に適当な香りをつけ、低アルコール濃度にしてから飲む文化が主流になったといえる。新鮮・さっぱり感を愉しむ時代に入ったのだ。 こうなると、酒自体の特徴は軽視され、香りやイメージが重要になる。
新鮮・さっぱり感への流れは、他の酒でも見てとれる。 日本酒は、甘くてベタベタした味の日本酒が嫌われ、吟醸酒がこの流れにのって急上昇した。しかし、日本酒全体は衰退したといえる。吟醸はさっぱり感はあっても、高額な上、アルコール濃度が高すぎて、気楽に飲める酒ではないから当然である。 ビールでも、この傾向が顕著だ。 1987年に「スーパードライ」が発売された。「辛口」、「キレ」、「鮮度」を訴求し、重い「ラガー」の圧倒的シェアを一気に奪ってしまったのである。爽やかで、沢山飲めるタイプが主流化したといえる。 その後、ビールよりさらに軽く、安価な、発泡酒が一世を風靡する。 消費者は、廉価で、飲み易くて新鮮・さっぱり感がある商品を望んだのだ。こうした市場状況下では、マーケティング力が大きく効くし、コスト競争力も重要だから、大手の寡占化が進むのは必然だろう。 そして、第3次ブームだ。単式蒸留の焼酎(乙類焼酎)がもてはやされるようになった。雑味だらけの酒だが、酒自体に強烈な主張がある。この、独特な味と香りを愉しむようになった訳だ。 といっても、技術の力がなければ、愉しめるレベルに到達しなかっただろう。減圧蒸留技術が登場し、焼酎の強烈な臭みを抑えることができたので、「癖」の鑑賞が気軽にできるようになったのだ。 このような点に注目すると、様々な地場品を賞味できる喜びがブームを引き起こした、と見なしがちだ。もちろん、そうした流れは否定できないが、焼酎は日本酒とは違い、高級ブランド品が確立していたわけではない。ブランド品を試飲して、愉しんでいるとは思えないのである。 そうなると、「本物」への回帰が始まったのではなかろうか。 経済状況を考えれば、安価で気軽に飲める商品を選定せざるを得ない。コモディティ市場は堅調だ。しかし、飽きがきているのも事実だ。多くのセグメントで飽和感が見られる。 ということは、「本物」も飲みたい、との欲求が高まっている可能性が高い。 といっても、高額化を狙っただけの商品や、作り物臭い商品は敬遠される。「本物」とは、原料そのものの特徴を力強く伝えることができる素朴な商品と考えられるようになったと思われる。 (ワイン型の市場ができつつあるといえそうだ。原料の力を無理なく生かしたものに人気がでる。そして、人気に応じて、価格が決まる。) この流れが強まれば、「本物」感が弱い地場品は、一気に冬の時代に入る可能性が高い。 上品な味を誇る地酒や、原料から発する旨みが薄い地ビールは、衰退するかもしれない。 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2004 RandDManagement.com |