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2003.9.25
 
 


10割蕎麦ファン…

 戸隠蕎麦、板蕎麦、越後へぎ蕎麦、出雲蕎麦、御前蕎麦、等々名物そばは多い。
 色々な蕎麦があるといっても、原料はソバ粉に過ぎず、安価な大衆食品である。ところが、この食品に薀蓄を傾けるファンは増える一方である。

 といっても、特定蕎麦のファンは少ないようだ。
 蕎麦の美味しさは、その土地独特の原料と水に由来する、との思想が強い上、それぞれの蕎麦に独特の魅力があると語る人が多い。
 そのため、各地の蕎麦屋巡りファンと、自製手打ちで美味しさを追求する蕎麦作りファンの二手にわかれるようだ。

 確かに、ソバは地方毎に違う。北海道産の品種はキタワセソバ、茨木は常陸秋ソバ、信州は信濃1号や信州大ソバ、九州はみやざきおおつぶ、といった具合だ。
 しかし、ほとんどのソバは中国からの輸入品だ。
 すでに、その土地に合った農産物を愉しむ時代ではなくなったといえる。
 僅かな国産ソバにしても、良質のソバが作れる山里のような痩せた土地での栽培品は極く僅かだ。今や、国産ソバが輸入品より優れているとは言い難いのである。
 従って、中国の「各地」産ソバの特徴を生かすべき時代に入った、といえよう。

 ソバの特徴そのものを愉しむようになると、つなぎ無しの100%品に消費者の興味が移る。ソバの香り、弾力性ある噛み心地、ぼろぼろした崩壊感、が重視されることになる。
 そのため、御前蕎麦のような「洗練され」「淡白で」「固い」、上品で食べ易い高級品ではなく、田舎を彷彿させる荒削りの蕎麦の魅力が高まってきた。
 (1枚1000円で、香りの薄いセイロを出す繁盛店もあるようだが、・・・)

 といっても、極く普通の蕎麦には、必ずつなぎが入る。うどんのような滑らかさが実現できるからだ。こちらは、食べ易さが商品の生命線である。コモディティ商品には不可欠の特性である。
 しかし、コモディティ市場は飽和状態だ。ソバの風味と特徴をはっきりさせる商品が求められていると言えよう。

 最近は中国の標高の高い地域で栽培されているダッタン種のソバも登場し始めた。生蕎麦とはかなり違うが、原料の「力」を感じさせる商品だから、新しいジャンルを切り拓く可能性がある。


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