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2004.6.2
 
 


カレー記念日に想う…

 横浜開港日、6月2日はカレー記念日でもあるらしい。カレーが日本に上陸したのが横浜だということで決めたようだ。(1)

 カレーは子供から大人まで広い人気がある国民食だが、その歴史は結構浅い。
 事業家が育てた、日本の食文化と言えそうだ。

 例えば、新宿・中村屋の名物「カリーライス」は、インド民族運動の指導者ビハリ・ボース伝授のレシピを看板にして、自社独自調達の鶏や米を調達する仕組みまで作って立ち上げた逸品である。「武蔵野館で映画を観て、紀伊国屋で本を買い、中村屋でカリーライスを食べる」というハイカラ文化を作り上げた。(2)
 これに呼応するかのように、銀座では、資生堂パーラーがカレーライスを提供し、大いに繁盛したという。
 こうした歴史があるから、カレーにはスパイスだけでなく、文化の香りがするのかもしれない。

 といっても、これは東京の話しで、大阪では高級路線とは逆の動きがおこった。小林一三がコーヒー付きの安価カレーライスを提供して大ヒットをとばしたそうだ。1932年のことだが、一日1万3千食売れたという。(3)
 B級グルメ路線のはしりのような気がする。

 このような話しが行き交うのだから、食のなかで、カレーへの関心度は図抜けていると言えそうだ。
 実際、カレー本や特集雑誌は相当な数にのぼる。(4)
 「一番の好物といえば……カレー」(別冊サライNo.10)といった話しを楽しく読んでいる人が多いことがわかる。

 このような、薀蓄を聞いてくれるファンを抱える領域には、事業チャンスは豊富だ。
 お蔭で、レストランサービスチェーン事業からレトルトカレー事業まで、様々な挑戦がくり広げられている。
 廉価提供がウリのチェーンもあるが、大半の試みは、「独特のカレー」と「独特な雰囲気の提供シーン」を強調するものだ。
 残念ながら、新宿・中村屋型の「地域文化」の香りで勝負するタイプは少数派のようだ。

 その例外的なものが、横須賀市の地域振興事業「よこすか海軍カレー」だ。(5)
 必ずしも、レシピや味の統一ができているとは言い難いが、ゼロから出発して、知名度抜群の人気ブランドを構築した。
 といっても、創出できたのはカレー屋産業だけのようだ。かつての新宿のような、文化産業化は難しいのだろうか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.currymuseum.com/news/index040501.html
(2) http://da.amuse.co.jp/tabemono/indo/indo1.html
(3) http://www.housefoods.co.jp/openhouse/museum/rekishi.htm
(4) http://leiger.ia.inf.shizuoka.ac.jp/~akirtaka/curry/org.html
(5) http://www.dbj.go.jp/hokkaido/localdata/nishiki/yokohama.html


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