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2004.9.15 |
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マイワシの希少化…マイワシが獲れない。ついに、2004年9月1日、「対馬暖流系マイワシ」は禁漁となるとのニュースが流れた。(1) 当然の対応だが、その程度の対策でなんとかなるものだろうか、と見ていたら、6日に開催された全国資源評価会議の結論はとんでもないものだった。 「漁獲量を管理しても資源は回復しない」との漁業団体の主張により、禁漁方針は撤回されたのである。(2) 数字を見ると、驚くべき激減なのだが、漁業従事者は、どうなろうとかまわないのである。 1988年には449万の大漁を記録した。 ところが、1991年には301万t、1994年には119万t、1996年には32万t、と激減する。1998年には20万tを切り、2002〜2003年はついに5〜6万tレベルにまで落ちこんでいる。(3) なんと、100分の1にまで落ち込んだのだ。 イワシは他の魚の餌でもあり、様々なファクターが絡んでいるから、どのように資源を保護すべきかはっきりしている訳ではない。 バランスもよくわからないのが実情のようだ。 水族館でさえ、状態維持は難しいようだ。水槽内ではイワシ8000匹に対しスズキ、アジが各5匹といった設定だというから、イワシを餌にする魚の量の方が漁業より影響が大きい可能性が高い。(4) とはいえ、マイワシの漁獲量は数十年周期で増減を繰り返すことが知られている。いずれ、マイワシも戻ってくるのだという。 こうした考え方を支えているのが、マイワシ(sardine)、カタクチイワシ(anchovy)、マサバの魚種交替仮説である。(5) 膨大な数の卵が海の中を漂う類の魚種が、互いに競争していると考えるのである。「3すくみ」状況が発生しているから、資源量が大きく自然変動するというという理屈だが、現実に、予測通り推移しているから、説得性は高い。(6) (尚、サンマ、アジ、スルメイカはカタクチイワシと同じ群の属すると見ることができるそうだ。ニシンは卵が付着するので、あてはまらない。) 従って、持続可能な魚獲を続けるのに、定常状態を仮定した理論に基づいた対処では、効果が無いことになる。単純な単年度の禁漁では上手く対応できる筈はないのである。 といって、下手にこの説を読むと対応を間違いかねない。 この説が正しとするなら、現在のカタクチイワシ全盛期の次はマサバの復活期、その先がマイワシ期ということになる。 従って、どうせ復活するのだから、今、マイワシを獲り尽くしてもかまわないという、とんでもない解釈で、乱獲をつづけようと画策する漁業関係者は多いのである。 マイワシも酷いが、マサバも同じことだ。 度が過ぎた漁獲が行われれば、今までのような自然変動が成り立つ保証などない。 カタクチイワシ時代にマサバの漁獲が進んでしまえば、いつまでもバランスを変える力が働かない可能性は高い。マサバ期は到来しないかもしれない。 つまり、カタクチイワシ時代が永久に続くのである。 そうなると、マサバも減り、マイワシは希少種になってしまう。 しかし、日本の漁業はその道を選ぶつもりのようだ。 カタクチイワシは安価なのに対し、マサバとマイワシが高価だから、なにがなんでも、獲り続けたいのである。 --- 参照 --- (1) http://www.asahi.com/business/update/0901/125.html (2) http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=NGK&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2004090601003366 (3) 漁業・養殖業生産統計年報 (4) http://www.sakigake.jp/servlet/SKNEWS.News.kiji?InputKIJICODE=20040903d (5) 河合智康著「消えたイワシからの暗号」三五館 1999年 (6) http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010723.doc 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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