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2004.10.1
 
 


鮎釣り観光業の問題…

 2004年9月10日、「第7回清流めぐり利き鮎会」が高知市で開かれた。
 ついに、四万十川が漁獲量減少などのため不参加になったという。(1)

 これは四万十川だけではなく全国的に見られる現象である。しかも、減少は相当前からの長期的傾向だ。

 語られている原因は、いろいろあるようだが、2つの点に関心が集まっているように見える。

 1つ目は、カワウの食害だ。増えすぎて、鮎が減ったのではないか、という説がある。
 2つ目は、冷水病である。

 各地の水産関係研究所は、これらに対応するプログラムを進めているようだ。カワウの生態調査をした上で、カワウ卵の間引きといった繁殖抑制策が行われたり、ワクチン開発や殺菌剤使用による冷水病抑制策が展開されることになる。

 一見、当然の対応に見えるが、抜本的な対処策とは思えない。

 カワウが全国的に異常大量繁殖しているなら別だが、カワウの消費が大きな影響を与えているとは考えにくい。もともと鮎の寿命は1年である上、膨大な数の稚鮎を放流しているからだ。

 耐冷水病研究の方も成果があがるか、はなはだ疑問である。
 注射で感染させた鮎を使った実験で、治療を検討しているレベルだからだ。(2)感染源も、感染経路も解明の目処が立っていないのだ。この状況で、冷水病が撲滅できるとは思えない。

 ・・・どうも、本質的な問題をはっきりさせた上で、最重要課題に取り組むつもりが無いようだ。

 部外者から見れば、他地域産の保菌鮎が大量に放流された結果としか思えないのだが。
 この結果、もともと住み着いていた鮎の弱体化を招いたということではなかろうか。

 魚体が弱体化すれば、生育環境の若干の変化に、大きな影響を受ける。どの河川も、上流や河口領域の環境変化が徐々に進んでいるのだから、漁獲量減少傾向は当然の流れだと思われる。

 上流の水量はどこでも減ってきているし、水質も少しづつ悪化している。いくら放流したところで、弱体化した鮎では、まともな生育など期待できないのではなかろうか。
 河口の環境も、鮎にとって不適になってきた可能性も高い。海に出る鮎の数も減るだろうし、海での稚鮎生育も進まない状況だろう。

 もしも、このような推定が正しいとしたら、他地域産の放流は再考する必要があろう。(3)今のまま続けていたら、弱体鮎ばかりの川になってしまいかねないからだ。
 下手をすると、鮎釣り観光業は破綻に追い込まれる可能性さえある。

 --- 参照 ---
(1) http://www.kochinews.co.jp/0409/040911headline05.htm
(2) http://www.fra.affrc.go.jp/kseika/14kseika/nrifs-u/nrifs-u02015
  http://www.seaworld.co.jp/~aquanet/aq-3/reisuibyou.html
(3) 漁業法によれば、増殖させないと漁業免許は受けられない。従って、放流が止むことは無い。


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