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2004.11.26
 
 


茸の食習慣の瓦解…

 「一日で6Kgのダイエット」(1-1)を体験し、30年もの間、ひたすらキノコを楽しんできた方の本を読んだ。

 カキシメジ中毒による、飽満感、悪寒、腹痛、嘔吐、下痢の四転八倒の6時間を、ダイエットと楽しく語れるようにならないと、キノコマニアにはなれないようである。

 ドクツルタケ、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジが毒きのこの王者らしいが、(2)カキシメジ中毒で酷い目にあっても、茸の美味しさを覚えてしまうと、中毒さえ、スリルとして愉しむことができるようになるのかもしれない。
茸の効能例
- 薬剤名 -
カワラタケ クレスチン
シイタケ レンチナン
スエヒロタケ シゾフィラン
- 生薬名 -
マンネンタケ 霊芝
カワラタケ 雲芝
ブクリョウ 茯苓
チョレイマイタケ 猪苓
セミタケ 冬虫夏草
メシマコブ 桑黄
アガリクス
ハナビラタケ
カバノアナタケ
ハタケシメジ
ヤマブシタケ
- 健食 -

 社会が成熟してくると、このような「茸の食べ歩き」が流行るようになるのだろう。

 昔は「食用茸」は、地域毎に限定版が決まっていたらしい。そして、この食習慣から外れると、毒茸と決めつけられたようだ。
 実際、コウタケは群馬県上野村では毒茸とみなされていたが、福島県ではお祝いの膳にのぼるという。(1-2)
 危ないから、多種の茸を食べるのを避けようという知恵だったに違いない。
 驚いたことに、食用茸とされていても、あたることがあるそうだ。こんな状態では、決められた少数の茸以外は食べないという規律に従うのは、理にかなっているといえよう。

 しかし、早晩、この規律は消える。地域の枠組みがなくなりつつあるからだ。
 そして、きのこ中毒が増えることになろう。
 さらに、薬効あるキノコばかり喧伝されているから、きのこ狩りも増えるのは間違いあるまい。中毒の激増という事態もあるかもしれない。

 そもそも、茸については、ほとんどの場合、どのような生理活性物質を含んでいるか、よくわかっていない。しかも、日本だけで、数千種もあり、簡単に検討できる状況にはない。
 内臓の機能不全を発生させる危険な毒は結構多い筈だが、わかっているものは極く僅かでしかない。

 実際、スギヒラタケを食した腎障害者のなかから、僅か1ヶ月間で28名もの急性脳症患者が発生した。(3)
 食用とされていても、中毒は発生するのだ。環境が変わったり、亜種が生まれれば、毒になる可能性があるのが茸なのである。

 薬でもないのに、ヒトアッセイ試験などできない。原理的に、毒きのこか、わかる筈がないのである。キノコマニアが試食して、毒性を発見する以外に手はない。

 中毒のリスクをおかしてまで、きのこ食に執着すべきではないと思うのだが。

 --- 参照 ---
(1-1) 大舘一夫著「都会のきのこ 身近な公園キノコウォッチングのすすめ」八坂書房 2004年6月、210ページ
(1-2) 同上、215ページ
(2) http://www.nittokusin.jp/kinoko/contents/poison/poison.html
(3) http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h16-10gatu/1026s.pdf


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