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2005.8.4
 
 


醤油の消費量は減るが…

 江戸時代は酒より醤油の方が高価だったという。技術進歩のお蔭で、安価になったのである。

 1つは、大豆を蒸し煮することで成分利用率が向上した点。
 もう1つは、工程(製麹)の自動化と管理(もろみ)の厳格化が進み、製造期間が短縮され、工数が激減した点。

 当然ながら、大量生産のナショナルブランドの寡占が進んだ。しかし、地場醸造も残っているのがこの産業の特徴である。今でも1600社程度の醤油メーカーがあり、都道府県の協同組合に所属しているという。

醤油の地場例
県名 県別シェア(1) 地名 代表的な醸造元
千葉県 34% 野田
銚子
キッコーマン、キノエネ醤油
ヒゲタ醤油、ヤマサ醤油、宝醤油
兵庫県 16% 龍野 ヒガシマル醤油
愛知県 6% 碧南
豊橋
常滑
小坂井町
知多
七福醸造、ヤマシン
イチビキ、小田商店
盛田
サンビシ
中定商店
香川県 5% 小豆島
讃岐
マルキン忠勇、タケサン、ヤマヒサ
かめびし醤油
大分県
群馬県
三重県
4% 臼杵
館林
桑名
二豊醤油
正田醤油
ヤマモリ
福岡県
 
 
北海道
青森県
 
2%台 大川
宗像
久留米
札幌
三戸
弘前
 
マルヨシ醤油
クルメキッコー
北海道醤油
高村醤油本店
竹内醸造
大阪府
熊本県
 
長崎県
新潟県
1%台
熊本
人吉
大村
長岡
大醤
浜田醤油、フンドーダイ、ホシサン
緑屋、釜田醸造所、橋本醤油
 
越のむらさき、星野本店
石川県
山口県
 
佐賀県
 
福井県
1%未満 大野
柳井
下関
佐賀
唐津
福井
直源醤油、ヤマト醤油味噌
佐川醤油店、柳井醤油、重枝醤油醸造場
大津屋
丸秀醤油
宮島醤油
フク醤油、山さきや
 とはいえ、年々醤油の消費量は落ちている。
 なかでも、大都市の消費量が少ないのが特徴的である。和風の食生活が維持されているかで、消費量が決まると見てよさそうである。

 しかし減っているといっても、1人当たり年間2.7リットル使っているそうだ。(2)
 決して、少ない量ではない。醤油のアミノ酸を摂らずには生きていけない状況と言っても大げさではなかろう。

 どうせ摂るなら、美味しい製品をと考えるだろうから、消費量は減っても、高品質な醤油は伸びる可能性が高い。
 なにせ、醤油は調味料と言うが、そのまま使うことも多いから、旨みはすぐにわかる。
 醤油はテースティングして購入する時代に入るかも知れない。

 それと同時に、関東では“こいくち”、関西ではうすくちといったステレオタイプの好みも通用しなくなるに違いない。シーンに応じた醤油を選定すると、醤油の愉しみが増すことに気付けば、何種類かの醤油を揃え始めることになろう。
 スーパーの棚に並ぶプレミアム醤油を好んで購入するファンが広がるのではなく、定番商品を使い続ける人達が醤油の使い分けを始めることで市場特性が変わることになりそうだ。

 肉や青魚料理には濃厚で香りが強い“こいくち”、野菜や白身魚の煮物にはあっさりした味になる“うすくち”、照り焼きには“たまり”、直接かける場合は“さいしこみ”、うどん汁に“しろ”といった使い訳の知識が広まれば、一家に3〜4種類は当たり前になるのではなかろうか。(3)

 --- 参照 ---
(1) http://www.soysauce.or.jp/news/files/20041130-01.doc
(2) http://www.soysauce.or.jp/arekore/index.html
(3) “白”しろ (愛知県碧南発祥[名古屋])
  “淡”うすくち (兵庫県龍野発祥[関西])
  “濃”こいくち (千葉県銚子/野田発祥[関東])
  “溜”たまり (愛知/岐阜/三重)
  “再”さいしこみ (山口県柳井発祥[山陰〜九州])


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