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2007.7.10 |
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山くらげを調べてみると…乾物に興味があったので、ちょっと調べたら、農林水産省「消費者の部屋」に「山くらげ」の説明が掲載されていた。(1) これによると、「山くらげ」とは、ユリ科の山菜「ぎぼうし」(擬宝珠)の葉柄を茹でて干したもの。 日本各地に分布し多くの種類があるという。 ただ、「ぎぼうし」によく似た毒草「バイケイソウ」に注意した方がよいそうだ。 驚いた。 毒草のことではない。日本の山菜だと主張しているからだ。 都会の店に並ぶのは、ほとんどが中国産だが、山里の“道の駅”では山菜版「山くらげ」が売られているということのようだ。 「山くらげ」とは、クラゲのような食感を楽しめる乾燥野菜のこと。この観点で見れば、「ぎぼうし」版は、クラゲというより干瓢に近い筈である。 中国では、もともとクラゲの食感を喜ぶが、日本の伝統料理にそんな感覚などなかろう。それに、山里に中華料理の習慣が根付いているとは思えない。日本の山国がクラゲを食べている筈もない。 にもかかわらず、どうして日本の山菜を「くらげ」と称するのか。 理解不能。 「山くらげ」は、言葉自体からして中国発祥以外にありえまい。 種苗屋さんにしても、“やまくらげ”は山菜系ではなく、正真正銘の野菜系。「茎レタス」だ(品種名: ケルン(2))。レタスはキク科だから、ユリ科の「ぎぼうし」と似ているところなどほとんど無い。 尚、海外では、茎レタスはセロリとレタスの中間に見えるので、Celtuceと呼ぶようだ。 茎レタスは、普段見慣れている玉状のレタスの形態と相当違うが、東大寺正倉院の文献に登場するそうで、日本ではこちらが主流だったらしい。(3)名称はチシャ(萵苣)。今でも、中国で通じる漢字だ。 そして、焼肉の友「サンチュ」の親戚にあたるという。 朝鮮と違って、日本はどうして、茎レタスの改良をしなかったのだろう。不思議だ。 「山くらげ」は日本ではマイナーな野菜だが、中国では、安徽省渦陽の特産品としてよく知られている。名称は「苔干」。 もっとも、別名の方が有名らしいが。・・・「清朝乾隆年間,已作為“貢菜”進奉皇帝」(4) この野菜、鮮やかな緑色になるところが、中国人からみれば翡翠の色■を連想させ喜ばれるらしい。 日本にはそんな感覚が無いから、なかなか受け入れられないのだろうか。 と言っても、一時期、お店屋さんでよく見かけた。無農薬栽培の自然食品イメージが奏功したのかも知れない。 「山くらげ」の作り方(5)を見ると、かなり手がかかるから、品質のよいものが足りなくなり、似て非なるものも並んだりして、流行が一気に下火になったのではなかろうか。 ただ、もともと、乾物は戻すのが面倒という印象があるから、今一歩浸透しないということもあろう。 だが、これは間違った印象である。 「山くらげ」ほど簡単に使える食材も珍しい。水に漬けて数時間。あとは軽いドレッシングをかければ、一皿完成。 和風の軽い味付けがお勧めである。 --- 参照 --- (1) http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/qa/alt/altqa010216.htm (2) http://www.sakataseed-netshop.jp/html/item/000/001/item38815.html (3) http://www.agri.pref.hokkaido.jp/nouseibu/soma/index/retasu.htm (4) http://ah.people.com.cn/BIG5/channel128/130/200508/07/255.html (5) http://www.agri.pref.kanagawa.jp/NOSOKEN/nousankako/Yamakurage/Yamakurage2.htm (川柳の出典) 「okakiの日記」 2007年06月06日 http://d.hatena.ne.jp/okaki/20070606/p1 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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