↑ トップ頁へ |
2007.7.24 |
|
|
南瓜の話…突然、カボチャの話。 「北海道産栗マロン南瓜」を知ったからである。果物並の高額商品だが、それが売れるというのである。(1) そういえば、最近は、「坊ちゃん南瓜」が八百屋に並んでいる。小さな南瓜を初めて食べたのは、相当昔のことで、とあるインターナショナルスクールのバザーだった。海外では珍しいものではなかったらしいが、その頃は、国内ではなかなか手に入らなかかったのである。それが、今や当たり前の商品。 ずいぶん変わった。 スーパーで見かけるカボチャも輸入品が多い。ニュージーランドが過半を占め、メキシコ、トンガをあわせると9割を超える。 国産の端境期を埋めるため、種を送って栽培し、輸入しているようだ。(2) 為替のお陰で輸入量は減っているそうだが、国産も頑張っているから、当面大きな変化は無いらしい。 “現在の国内産地は今日に至るまで輸入物との厳しい競争の中で生き残ってきただけに、栽培方法の改善に積極的に取り組むなど、・・・力強さが感じられる”(3)そうだ。ただ、長期的に見ると、そうはいかないようだが。 ちなみに、国産では、北海道産が過半を占め、これに、鹿児島、茨城、千葉、神奈川、が続く。 小学校の頃だったか、“かぼちゃ”という名前は、カンボジアのこと、と聞いた覚えがある。 そこで、日本で改良されたのが今食べているカボチャかと思ったら、違うそうだ。明治に入って、北海道開拓使が「ハツパード」と「デリシャス」を選んで導入したそうだ。前者は超ハードもので、後者は“カステラカボチャ”という甘系だった。これらが改良され「栗カボチャ」と「栗饅カボチャ」になったという。 この新しく導入された系統を、西洋系と呼ぶらしい。(4) 当然ながら、西洋系が市場の主流である。ほくほくとした食感が人気の元のようだ。 店頭でよく見かける「えびす南瓜」や「みやこ南瓜」のことだ。これらは、「黒皮栗南瓜」の一族と見てよいらしい。 最近は、最高に美味しい栗カボチャとふれこみの「がんこ南瓜」が並んでいることも多い。 ただ、同じく美味しいとされる「鉈割り」あるいは「まさかり」は、名の通り超硬い実だから、都会には登場しそうにないが。 ただ、栗南瓜としては、皮の色が赤の「赤皮栗南瓜」は時々みかかる。なかでも、「打出赤皮栗南瓜」は金沢名産で有名らしい。 一方、「青皮栗南瓜」もあるそうだ。こちらは「芳香青皮栗南瓜(東京南瓜)」という品種が知られているという。 尚、古くからある、日本南瓜系は、ホクホク感ではなく、ネットリ感が強いという。土着モノだから、家庭でも楽に作れるそうだ。 その代表は「黒皮南瓜」。表皮が特徴的な「縮緬南瓜」もあるらしいが、どこで流通しているのかは定かではない。 小学校の社会科でカボチャの産地は宮崎県と習ったような気がするが、今も「日向南瓜」はあるようだが、地産のマイナーなものになってしまったようだ。「菊座南瓜」の系統に似ている感じがする。 関西中心に出荷しているということだから、(5)東京ではそう感じてしまうのかも知れぬが。しかし、関西では南瓜は廉価品イメージが強いようだから、商売としては損をしているのではないか。 そういえば、このところ、京野菜に人気が集まっているが、流石に「鹿ケ谷南瓜」は余り見かけない。いかにも奇妙な、瓢箪型(6)だから、独特な美味しささえあれば、流行ってもおかしくないと思うが。 特産品をつくろうということで、この他にもいろいろな品種が復活してきたようだ。 飛騨高山では瓜型の南瓜、「すくな(宿儺)南瓜」が作られている。原型を見れば、確かに南瓜だ。(7) 「会津菊南瓜」も消えたらしいが、復活途上のようである。(8) 流石に、「鶴首南瓜」になると、趣味の栽培になってしまうようである。 ここまできたのは、ブランド化特産品作り(9)に走る農家の力もあるだろうが、おそらく種苗会社の努力が大きい。大手から中小まで、カタログには、おどろくほど多くの品種が並んでいる。と言っても、なかなか“伝統野菜純系固定種”に力を入れるのは難しそうだ。 単価からみて、儲かるビジネスには見えないからである。 それに、どの地方も“おばけかぼちゃ”のような野菜作りにはえらく熱心だが(10)、“伝統野菜”については関心が薄そうだから、簡単なことではなさそうである。種苗会社が種を絶やさないように頑張っているのが実態のようだ。(11) ところで、カタログを見ていて知ったのだが、ズッキーニもカボチャなのだ。瓜だと思っていたが、そういえばカボチャもウリ科の植物だから当然といえば当然だ。 この系統は「ペポカボチャ」と呼ばれている。 観賞用に売られている「おもちゃ南瓜(綿甘露)」もその手のものらしい。 食べられるカボチャでは、鳥取県智頭特産の「素麺南瓜(金糸瓜)」(12)が知られている。名前のように、麺のようになっているそうだが、一回食べてみたくなる。 南瓜も奥が深い。 --- 参照 --- (1) http://www.yasaiyasai.com/item/3_631.html (2) http://www.tokyo-seika.co.jp/business06/area/vegetables/kabocha.html (3) 藤島廣二: 「かぼちゃ輸入の今日的状況と国内産地の動向」 野菜情報 専門調査報告 [2006.3] http://alic.vegenet.jp/yasaijoho/senmon/0603/senmon2.html (4) 相馬博士の作物百科 かぼちゃ http://www.agri.pref.hokkaido.jp/nouseibu/soma/index/kabocha.htm (5) http://www.the-miyanichi.co.jp/feature/feature/index.php?typekbn=2&feature_id=22&article_id=160 (6) http://www.mcci.or.jp/www/tsurusin/haruyasai/pumpkin/hinshu/sisigatani.htm (7) 「飛騨高山朝市」 http://www.asaichi.net/mr/f.html (8) http://www.pref.fukushima.jp/keieishien/kenkyuukaihatu/zairai/aizu_kiku.html (9) 例: かごしまブランド産地指定「加世田のかぼちゃ」 http://www.pref.kagoshima.jp/sangyo-rodo/nogyo/nosanbutu/brand/brand/kabotya.html (10) 「日本一どでカボチャ大会」 http://www.niji.or.jp/home/shodojc/kabocha.jpg (11) http://noguchiseed.com/hanashi/kouen_2.html (12) http://www.yasaiyasai.com/item/3_19.html (俳句の出典) 岡山県立興陽高校 [2005/7/13 岡山県俳句作家連盟第二十二回俳句大会 地六位] http://www.koyohigh.okayama-c.ed.jp/haiku/gendai2005.htm (南瓜のイラスト) (C) 素材屋じゅん http://park18.wakwak.com/~osyare/index.html 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2007 RandDManagement.com |