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2007.9.27 |
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唐辛子の話…たまに ものすごく辛いのに当たる・・・ 麺の薬味や、漬物に使われ以外は伝統料理には余り登場しないのが、トウガラシ。 しかし、エスニックブームで人気がでて、辛味に慣れがでてきたようである。 熱帯の暑さのなかで、汗を出して新陳代謝を活発にするとか、中国四川や韓国のような寒い割りに結構暑い時がある地域も同じだろうが、それほど過酷な気候でない日本で人気が出るのは、暑くなってきたことなのかもしれない。 亜熱帯性気候の沖縄なら、大量に使うかといえばそうでもないようだ。市場に行くと美しい「島とうがらし(キダチトウガラシ(1))」が沢山売られているが、ほとんど「コーレーグース」用らしい。 30度以上の泡盛に漬けこめば完成だから、自家製も多いようだ。
江戸時代から受け継がれてきたせっかくの食文化の勢いが弱くなってきたようである。 ただ、七味唐辛子は使用量は減っても、それなりに人気を保っているようだ。 もともとは、唐辛子を乾燥したり、焼いたりして、刺激を強めた上で、他の香りを加えた、蕎麦用の薬味として、江戸で生まれたようだ。 この食習慣が京へ移り、もとからあった山椒文化と融合し、洗練度が高まったということだろう。今でも、京都では、お土産屋も含め七味販売店はよく見かける。 京の流行が、蕎麦を好む信州に入り、蕎麦に直接振り掛ける食べ方になったということだろう。蕎麦の香りが好きなら、合理的な使い方である。 七味は、成分の選択と配合割合で、その土地土地で分かれるようで、食文化の違いを垣間見せており、なかなか面白い。 妙高辺りでは、作るのに3年もかかる、「かんずり」(3)まで考案した。あくなき食の楽しみの開発と言えそうだ。(なんとかしてビジネスを生もうと苦闘した結果かも知れぬが。) 現代の若者に、激辛が人気があるようだが、歴史的経緯を考えるといささか心配になる。 辛さがきつくなると、素材の微妙な味の違いや、出汁や素材の香りや旨みがわからなくなり、折角の和食ならではの楽しみを失ってしまうからだ。だからこそ、肉食用には合う、丁子(クローブ)のような調味料が使われてこなかったのだと思うのだが。 従って、「鷹ノ爪」の約10倍もの辛みとされる「黄金唐辛子」(4)も、余り広がらなかったのではなかろうか。 ともかく、日本で好まれるのは、もっぱら「鷹ノ爪」・「本鷹」系統のようだ。(中国産「天鷹」は、日本向けの名称だそうである。)それに、漬物用に多用される「八房」系統が加わる程度。日本で売れるキムチは辛そうに見えるが、実際のところは、それほどでなく、鮮やかな赤色が目立つ唐辛子を選んでいるようだ。 最近、八百屋さんで定番化してきた京野菜(5)のトウガラシにしても、辛くない唐辛子だ。昔から、獅子唐系に人気が集まっていたのだろう。 ただ、辛くないといっても、獅子唐は大当たりがあり、えらい目に合う。 京の伝統野菜はそんなことはないのだろうか。 大いに気になるところである。 --- 参照 --- (1) [南西諸島]http://www.trop.kais.kyoto-u.ac.jp/sota/details/kidachijapanese.htm [八重山諸島]http://www.trop.kais.kyoto-u.ac.jp/sota/details/kidachijapanese3.htm (2) http://housefoods.jp/company/news/news1602.html (3) http://kanzuri.com/process/index.html (4) http://www.ajikou.com/gold.html (5) [現存伝統京野菜]: 「伏見とうがらし」, 田中とうがらし, 山科とうがらし [準伝統野菜]: 「万願寺とうがらし」. 鷹ケ峰とうがらし (「」:ブランド京野菜) http://www.joho-kyoto.or.jp/~furusato/mark.html (俳句について) livedoor ハイクブログ http://haiku.blog.livedoor.com/ichiran.php?kg=4353 (鷹の爪/獅子唐のイラスト) (C) Hitoshi Nomura “NOM's FOODS iLLUSTRATED” http://homepage1.nifty.com/NOM/index.htm 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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