↑ トップ頁へ

2007.10.16
 
 


茗荷の話…

 茗荷でも 馬鹿にはならぬ 御家柄
  江戸時代の川柳だそうである. ちなみに, 紋は「丸に抱き茗荷」らしい.

 「茗荷」でウエブを検索すると膨大な数のホームページがあることがわかる。そして、漢字入力なのに、中国のウエブがひっかかってこないことに気付く筈。
 少し眺めてみると、たいてのウエブで仏教らしきお話が登場してくることも特徴的。

 仏教の話といっても、正体がよくわからない弟子と お釈迦様とのやりとりにすぎないのだが、それを細かく記載しているものが多い。

 どうも胡散臭さを感じる。

 だいたい、インドに茗荷が生えているのだろうか。
 あったとしても、カレーのような香辛料が主体の食事なら、茗荷のような野菜を好むとは考えにくいが。
 それに、漢字がどうも腑におちない。一体、どんな出自なのだろうか。創作話に合うように、勝手に創作した漢字ではないか、という気もする。
 と言っても、調べる気力は湧かないが、お話の出典はあるようだ。(1)

 このお釈迦さまの話は、「蜘蛛の糸」と一緒に、小学校のテキストで読んだ覚えがある。何故か知らぬが、覚えているところを見ると、えらく心に残るお話なのだと思う。
 その理由は、おそらく、これにつながる後半の話があるからだと思う。と言うより、お釈迦様の茗荷話とは、後半の説話のための創作話のような気がする。素人の邪推かも知れないが。
  → 「みょうが宿のおかみさん 」 (宮城県色麻町民話)

 それはともかく、茗荷の価格の高さには驚く。3個入りのパックが数百円もしたりする。
 農家の裏、と言うか便所の傍に、生えている草という印象が強いから偏見もあるが、一寸高価すぎないか。昔、食べたいなら、いくらでも採ってきていいよ、と言われた覚えがある人も多いのではなかろうか。
 もっとも、そんな夏の旅行の思い出を持っている人は、高齢層とされかねない。

 しかし、まともに原価計算すればそうなってしまうのは当たり前かもしれない。日本一のミョウガ産地と言われる、「JAあきた白神」での栽培状況を見ると、おばあちゃん達が大変な仕事をしているのだ。日に当てないように藁を敷いた栽培になるため、地面を這うような収穫作業になるのである。それを綺麗に洗って、選別し、パックするという。(2)

 能代辺りでは夏だけ栽培しているようだが、最近は、周年栽培に力を入れているところが多いようで、東京では一年中並んでいる。
 そのため、驚いたことに、女子短大生で茗荷の旬を夏と答えたのが4割だ。その母親でさえ、ようやく7割。菜の花なら両者とも100%正解するのとは大違い。(3)
 しかも、回答者は買い物を毎日する人だというから、そうでない人になるとどんな数字になるか恐ろしい。

 まあ、家庭で消費される野菜より、外食・加工品にまわされる野菜の方が多い時代だから致し方ないのかも知れぬが、寂しい限りだ。

 などと考えつつ、スーパーで茗荷パックのラベルを見ると、高知県産が多いようだ。流石に、輸入品は入ってきていない。
 高知県は自然環境に恵まれているから、おそらく、早出し栽培で優位を保っているのだろう。

 --- 参照 ---
(1) 「ミョウガについて 辻田 - 2004/06/08 No.19」 Reference Club BBS
  http://www.reference-net.jp/bbs/yybbs.cgi?mode=past&log=1&page=200&bl=2&list=tree
(2) 秋田県発行 月刊全戸配布広報紙「あきた新時代」 “ミョウガ ” [2002.11.27] http://www.524do.com/toko/syunka/0209myo.html
(3) 斉藤貴美子, 他: 「野菜の季節感に関する意識調査」 立教大学女子短期大学部研究紀要第48集 2005年
  http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/lib/slib/kiyo/juc/jcl48/jc4803.pdf
(川柳の孫引き先) 「旬のカレンダー 茗荷」 http://www.ajinomoto.co.jp/recipe/calendar/vege/vege_42.html
(家紋「丸に抱き茗荷」のイラスト) (C) 篆刻素材AOI http://www.aoiweb.com/aoi2/index.html
(茗荷のイラスト) (C) GIFがぞう屋 http://gifgazou.web.fc2.com/


 「食」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2007 RandDManagement.com