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2007.1120 |
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白菜の話…白菜は中国の代表的な野菜である。 ・・・ということを、感じさせるのは、台北の故宮博物館の翡翠の彫り物である。よく見ないとわからないが、キリギリス/イナゴがとまっているそうだ。 一度見たことはあるが、何故、中国人は、そこまで白菜にこだわるのか不思議な気がした。なんでも、吉祥を象徴する造形物らしいが。 → 「翠玉白菜」 國立故宮博物館 [清代コレクション] もっとも、庶民信仰的な感覚なら、「百財」の音と似ているから人気があるという話かも知れない。ともかく、中国では今でも白菜彫刻は人気があり、関心が高いようだ。(1) この野菜、日本では、おそらく、過半は業務用になるのではなかろうか。家庭は、加工済みの漬物として購入している感じがする。 一方、家庭で購入された白菜は、漬物に回らず、もっぱら鍋に使われるのではないだろうか。 鍋では、なんと言っても、脂分が多い豚肉の薄切りと白菜を重ねるものが、知る人ぞ知る名品。脂が多くて安価な肉と、これまた安価な白菜だけという簡素なレシピだが、これが滅法美味しい。 調理のポイントは、薄切り肉が重ならないように広げることと、肉を確実に白菜ではさむこと。ともかく、ぎゅうぎゅうに鍋に詰める。そして、水や調味料を一滴も入れず、安物の焼酎だけをかけて、蓋をして火にかけるだけ。火が通ったら完成だから、ポン酢で頂く。実に簡単至極。 もっとも、いくら安くて簡単で美味しいといっても、毎日のように食べるのは、どうかと思うが。 それはともかく、これこそ、忙しい独り者の料理としては、最高峰だと思うのだが。 もっとも、白菜の値段は高いと言う人もいる。 “四分の一の白菜で、日本円で80円以上、人民元で6元もするなんて。北京の白菜が、500グラムで1角(1角=約1.5円)なのを考えると、まさに雲泥の差”だという。 高価なので、4人で、“その白菜で3回、食事をした”という。・・・“物価が高いから、2、30万円稼いでいても、僕らが3、4000元稼ぐのとそんなに変わらないんじゃないかな”と感じたようである。(2) 全く、その通りだと思う。 それでも、他の野菜に比べると、白菜は安価な感じがする。しかし、日本人は、中国のようには大量消費しない。 従って、豊作で暖冬だったりすると、驚異的な価格暴落に陥る。安価になっても、需要は余り伸びないのである。 しかし、もう少し家庭で購入量を増やしてもよさそうな気がする。 そう思うのは、昔、横浜中華街を高いところから眺めたことがあるからだ。 密集地域だから、当然ながら、スペース活用が進んでおり、屋上も遊ばせることはない。 それでは、何に使われているかと言えば、白菜の貯蔵所だった。 つまり、白菜の場合は、新鮮な野菜ではなく、古い野菜が使われているということ。 お店に聞いてみると、その理由がよくわかる。白菜は、置いておくと芯の方が成長する位、生命力が強いのだという。半日ほど陰干しして、表面水分を飛ばしたら、後は紙でくるんで寒いところに縦置しておけば、結構長持ちするという。もちろん、水分が放出され、次第に萎びてくるのだが。 ところが、萎びても、白菜の場合は、それで一向にかまわないという。 新鮮な白菜は、水分ばかりで、たいして美味しくないが、萎びてくると、旨みが凝縮され、甘みが強くなり、絶品になるという。従って、料理のプロは新鮮な白菜を避けるのだとか。 ふ〜む。 日本で白菜の歴史が浅いのは、こんなところに原因があるのかも知れない。 白菜は受粉管理が難しいので、日本ではなかなか栽培が上手くいかなかったせいで、普及が遅れたと記載してあるウエブをよく見かけるが、中国大陸では数千年間、ほとんど問題が発生していないようだから、理由は、そればかりではあるまい。 日本人は、新鮮野菜好きだから、白菜は敬遠されてきたのではなかろうか。 それに、黒い点がついた葉を嫌がる人も多いようだし。 日本人は、野菜に関しては、結構神経質なのかも知れぬ。 --- 参照 --- (1) 「翡翠“白菜”10万元」 人民網 [2006.1.11] http://art.people.com.cn/GB/41067/41068/4017536.html (2) 2006年11月14日人民中国雑誌社訪日研修者の座談会 http://www.peoplechina.com.cn/maindoc/html/200701/56zhuanwen56.htm (俳句の出典) NHK俳句王国 2006年1月28日 http://www.nhk.or.jp/haiku/html/haiku18-1-28.htm (白菜のイラスト) (C) 素材屋じゅん http://park18.wakwak.com/~osyare/index.html 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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