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2008.1.8 |
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甘藍の話…何故、野菜の漢字表記に拘るのかと疑問を感じる読者もおられるようだが、他意がある訳ではない。 野菜には、それこそ地場品から、海外モノまで種々雑多な作物があり、改良も年中行なわれている。お蔭で、商品のバラエティ化は凄まじい。しかも、ニーズや流行に合わせ、各地の生産者が工夫するから、伝統的な季節感や産地感は変わってきてしまい、今や、八百屋さんの棚は作物の坩堝状態。 それはそれで愉しいとも言えるが、野菜の食文化が大きく変わり始めている可能性は高い。伝統文化に想いをはせたいなら、漢字の名前の意味を考えて見るのも手ではないか。 名前は、野菜相互の位置付けを示唆していそうだから、どうしてこんな名前になったか考えるだけでも結構面白いと思う。 と言うことで、今回は甘藍。 馴染みのない名前と言う人も多いかも知れぬ。なにせ、パソコンに「かんらん」と入力したが「観覧」しか出ないのである。こんな言葉を知っているのは、高年齢層だけかも。 この名前、江戸時代には普通に使われていたらしい。ただ、観賞用の植物名だったという。言うまでもないが、現在の「葉牡丹」のこと。冬に咲く花はほとんど無い上、温室など考えられない時代だから、おそらく大流行した筈。 しかし、鑑賞だけで滅多に食べなかったは当然である。ハボタンの英語名とは“flowering kale”。要するに、あの、“苦い〜 不味い〜”生汁でよく知られるケールである。ほとんどの人が嫌いな味と言って間違いあるまい。 従って、「甘藍」をキャベツの甘さからきた名前という説は多分間違いだろう。中国での呼び名、ganlan(1)をそのまま受け入れたと考えるのが自然だろう。 中国にしても、この野菜はシルクロードからの渡来モノということで、当て字ではなかろうか。
どれも、いかにも、洋モノ野菜というイメージがする。そうなれば、カンランでなく、キャベツと呼びたくなるのは自然な流れだろう。 そんなイメージが嬉しいので、「“皿盛り”ライス+豚“カツ”+千切り“生”キャベツ」が洋食メニューとして定番化したのかも知れない。この料理、およそ日本的なものであり、不思議な感じがする。 パンの代替としてのご飯はよくわかるが、Coteletteの方は見かけは似ているが、実はパン粉とつけた天麩羅だ。しかも、付け合せが生のキベツとくるから、西洋料理とは言い難い代物。 欧州でキャベツを生で食べるとは思えないからだ。と言うことは、コレ、漬物(Sauerkraut)か、塩揉みサラダ(Coleslaw)の日本流代替品なのだろうか。 もっとも、詰め物煮込み(Stuffed Cabbage Rolls)やアンチョビと炒めたスパゲッティ(Spaghetti con Cavolo e Acciughe)はほとんど変わらないから、不思議な感じがする。 ただ、イタリア産キャベツは日本の春キャベツとは少し違うようだが。(3) そう言えば、欧米でもスープ材料には使うだろうが、ポトフやボルシチに必要という訳では無いと思う。ところが、日本では入れることが多いようだ。 回鍋肉にしても、本家は蒜苗だ。 日本人は余程キャベツ好きなのだろうか。 それとも、夏暑い時に葉野菜が欠乏し、どうしても青物が欲しくなって、持ちがよい高原キャベツを買うしかなく、慣れ親しんでしまったということか。 --- 参照 --- (1) 中國大百科全書知恵蔵 “ganlan” http://140.137.101.73:8008/cpedia/Content.asp?ID=14121 (2) 野菜図鑑「キャベツ」 http://alic.vegenet.jp/panfu/cabbage/cabbage.html (3) “Involtini di cavolo all'acciuga con bagnet verd” Discover Italia http://www.discoveritalia.it/iwe/specialita.asp?lingua=it&IDidea=78 (俳句の出典) 「ブログに遊ぶ ときめきの日々を過ごしたい」 http://blog.goo.ne.jp/hasemasa1138/e/6ec6e73f11c2f6d4956f58f53278c774l (キャベツのイラスト) (C) Hitoshi Nomura “NOM's FOODS iLLUSTRATED” http://homepage1.nifty.com/NOM/index.htm (ハボタンのイラスト) (C) お花のアイコン館 http://flower.girly.jp/ 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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