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2008.2.12 |
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苦瓜の話…苦瓜こと、ゴーヤーは、夏の野菜だが、今では一年中スーパーで見かける。北海道産の表示を見かけたこともあり、これには流石に驚いた。 しかし、本土での歴史は結構浅いらしい。鹿児島、宮崎あたりでは、地場用に作られていたのかも知れないが、沖縄から出荷し始めたのは1993年11月のこと。(害虫ウリミバエ根絶確認後(1)) わずか10年ほどで、定番野菜の地位を獲得したのだから、ブームのすごさを物語る。 ゴーヤー料理といえば、豆腐・豚肉・鰹節と一緒に炒める「ゴーヤーちゃんぷる」である。初めて食べた時は、その苦さに驚いたが、3回も食べると、どういう訳か病みつきになる手の食べ物である。 バリ島でも、卵と炒めた「pare “ちゃんぷる(campur)”」(2)が結構登場するから、アジアの暑い地域ではゴーヤーを日常的に食べないと気がすまなくなるのだろう。 それに、手などかけなくても、勝手に育ってくれる強い植物らしいから、そこらじゅうに生えていそうだ。 画期的だと思うのは、実が青いうちに食べる方法を考え出した点。おそらく、鳥に食べられる前に食べてしまおうとの魂胆だろう。 そう思ったのは、ツルレイシ(蔓茘枝)と呼ばれているそうで、これが秋の季語になっているからだ。名前から見て、昔は、熟した実の中味だけを食べていたに違いなかろう。 そう言えば、ゴーヤーという名称も、苦瓜の中国発音ku gua(広東:fu gua)と似ている感じがする。“ちゃんぷる”同様、アジア一帯の食文化のつながりは深いものがありそうだ。 インドネシアのお隣、マレー語も、“pare”によく似ており“peria”だ。この程度は当たり前かもしれない。 もっとも、タイに入ると、挽肉を詰めて、干し椎茸と一緒に煮たスープがあったりする。結構手が込んでいる料理だ。(3)ここでは、ゴーヤーは“mara”となる。そのお隣のベトナムでは、“muop dang”。 遠くに跳んで、米国では、苦瓜の直訳名“bitter melon”だ。それ以外にも、balsam pearや、fu kwaとも呼ばれているようだ。(4) Fu kwaは多分、中国野菜として売られる際の名称だろうが、pearというのもなんとなく不思議に思ったが、そんな形状も多いようだ。Melonでは違和感を覚えるということか。
しかし、balsamの由来は何なのだろう。バルサムの香りがするとも思えないが。もしかすると、ゴーヤー茶の影響か。 フランス語を除くと、西欧の言葉はこの系列が多いようだし。 ヒンディ語はkarelaなのに、デンマーク語で使われているだけなのは、カレー料理用材料としてはうけなかったということか。 とにかく、世界中でアジアの野菜として認知されているのは間違いなさそうである。 なにせ、オーストラリアのシドニーで年間の価格調査が行われる位だ。(6) 今や、ゴーヤーは、世界的野菜の地位確立に向け驀進中といったところのようだ。 --- 参照 --- (1) 「ウリミバエ殲滅の軌跡」 http://www.urban.ne.jp/home/ngsek/urimibae_001.htm (2) [日本流インドネシア料理の“パレちゃんぷる”の例]---挽肉との炒め物だがイスラム教は禁豚肉 http://www.warungmatahari.com/c04_parecampur.html (3) http://www.ucancookthai.com/language-english/thai-recipes/curries-and-soups/content-bitter-soup.htm (4) http://www.sfc.ucdavis.edu/library/pdf/717.pdf (5) http://www.crop.cri.nz/home/products-services/publications/broadsheets/102balsampear.pdf (6) http://www.agric.nsw.gov.au/Hort/Fmrs/Asian_veg/bitter.htm (俳句の出典) 現代俳句協会 投句[一般の部] http://www.gendaihaiku.gr.jp/haikukai/result/53_touku.htm (蔓茘の季語解説) 松田ひろむ: 「季語探訪」 http://www.hiromu.net/kigo.htm (ゴーヤーの言語別名称) http://www.greenhouse.vic.gov.au/dpi/nrenfa.nsf/LinkView/99063478C0E4E6B7CA2570B4001BCA855E3946E74D2DB314CA257210000A4A12 (ゴーヤーのイラスト) (C) Hot Plan オキナワンスタイル http://www.okinawanstyle.com/ 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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