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2008.4.15
 
 


辣韮の話…


  切る洗う 漬けるラッキョウ 日足のぶ  宮村きみさん(四万十市)

 苦手なのに、次々とラッキョウが持ち込まれる、(1)などということがあるのだろうか。
 実に不条理な話だが、ラッキョウの感覚になんとなく合うから不思議だ。

 それはともかく、嫌いな人も少なくない。
 カレーに福神漬はあり難いが、ラッキョウは御免被るとの話は時々耳にする。多分、あの甘酢味が口に合わないのではないかと睨んでいるのだが。
 それがわかったのは、職業主婦と語る親戚からラッキョウ漬を頂戴した時。
 今まで食べていたものは何だったのだろうという感じがするほど、美味しいのだ。甘酢とは違うのである。そんなものに出会わないと、なかなかラッキョウファンにはならないかも。

 まあ、字の如く、シンラツ(辛辣)なニラ(韮)だから、嫌がられるのはやむをえない。と言っても、もっぱら葉を食べるニラとは、相当違う。韮は、夏、葉が育って育って・・という感じだが、辣韮は逆。葉が枯れてしまうのだ。しかし、その夏を越させて、根を分球させるから魅力が生まれるらしい。
 ということは、夏前に収穫すれば大きいままということになるのだろうか。
 それよりもっと前の、若いうちに収穫してしまうのが、小振りの「島らっきょう」(2)なのだろう。珊瑚石灰岩が風化した島尻マージ土壌で作るとよいらしい。ラッキョウ君、暑いところで頑張っているのだ。小生は、沖縄では、豆腐ヨウに次いで大好きな一品だ。

 排水が良い土を好む植物なので、昔から、三里浜砂丘(3)や鳥取砂丘(4)の特産品と聞かされていたが、他でも結構作られているようだ。
 加世田(5)、唐浜(6)、といった砂丘どころ(7)や、鳴門市大毛島(8)のように海砂でも育てられている。ただ、内灘(9)のように、広大な畑はあっても、盛んとまではいかなくなってきているのかも知れない。
 なかには、ラベンダー色のお花畑を楽しんでもらおうと頑張る黒潮町のような地域もあり、意識の違いを見せつけられる思いがする。
 ここでは、「私たちの町には美術館がありません。美しい砂浜が美術館です。」(10)というのだ。

 それでは、砂丘や砂浜といった超過酷な環境でなくては育たないのかというとそうでもなさそうだ。千葉県の内陸産を見かけたことがあるからだ。それに、日光に遊びにいけば、栃木産の大振りの「たまり漬け」土産を勧められたりする。
 中国産という可能性も高いが。(11)

 産地は様々だから、他の野菜のように、品種創出合戦が盛んなのかと思ったらそうではないらしい。種で増やすものではなく、改良が面倒だからか。
 普通は「らくだ」の大玉栽培だそうである。(12)
 ほほ〜。
 栽培が“楽だな〜”という品種なのかね。
 一方、小粒の品種名は「九頭竜」だ。と言うことは、もっぱら三里浜産なのだろうか。こちらの栽培は手がかかるのかも知れぬ。
 だが、根強い小粒好きがいるから残っているのだと思う。
 実は、小生もその一人である。産地は知らずに食べているが。

 --- 参照 ---
(1) 平田俊子: 「ラッキョウの恩返し」 思潮社 1984年 [詩集]
(2) http://ogb.go.jp/nousui/okinawan_made/yasai/simarakkyo/simarakyo_top.htm
(3) http://www.sanrihama.jp/rakkyo1.htm
(4) http://www.jan-agri.com/manande/rakkyou/rakkyou.htm
(5) http://www.kagoshimaseika.co.jp/osusume/3680_46_199905.asp
(6) http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/nri0709gr1.pdf
(7) 「砂丘」コレクション EMMさん http://uub.jp/nam/sakyu.html
(8) http://www.ts.zennoh.or.jp/engei/shallot.html
(9) “砂丘の畑活用 効率的に 金沢市と内灘町 4月に推進協設立合意” 中日新聞 [2008.2.28]
   http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20080228/CK2008022802091216.html
(10) 砂浜美術館 http://sunabi.com/doc/concept.html
(11) “ラッキョウなど産地偽装 清水漬物工業 中国産、国産と偽る” 下野新聞 [2008.2.13]
   http://www.shimotsuke.co.jp/hensyu/news/php/s_news.php?f=k&d=20080213&n=0
(12) 野菜ソムリエ: “ベジフル旬を丸かじり 品種編 19 ラッキョウ”
    http://www.vege-fru.com/prov/webmaga/new-vf/rakkyo/index.html
(俳句の出典) NHK高知放送局 きょうの一句2007年7月9日 http://www.nhk.or.jp/kochi/johobox/ikku/2007/ki_07.html
(ラッキョウの写真) (C) 夢色素材  http://www.yumeirosozai.com/index.html


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