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2008.10.7
 
 


明日葉の話…



 明日葉の 力を借りる 苦さかな  

 アシタバを初めて食べたのは八丈島料理を出す飲み屋でのこと。相当昔の話で忘却のかなただが、出てきたのは、天麩羅とおひたしだったと思う。まあ、値段の割りにはたいしたものではないという印象だった。
 その後、伊豆辺りでも、よく食事にでてくるようになった。地元産だろうか。

 生命力が強く、葉を摘んでも明日になると葉がでてくるという話を必ず聞かせられるが、そんなことがあるとは思えない。ただ、なにか長寿話がありそうな予感はする。
 まあ、多年草だから、温かいところなら、放置していても茂るのは間違いなさそうである。
 なんとなく薬効ありそうと感じるのは、独特の苦味があるからだ。普通なら嫌われるところを、それこそが健康の源と言われるとかえって有難く感じるから不思議なものである。セロリやパセリでわかるように、セリ科の植物には皆癖がある。その例外は三つ葉だが、これは、皆に食べてもらえるように、そんな癖を無理に消したということ。明日葉は逆で行くわけだ。

 セリ科でも、Angelicaの仲間(1)だそうだが、日本流に言えば、漢方薬の当帰芍薬散で有名な「当帰」系ということ。
 もっとも、「アンゼリカ」といえば、漢方というより、ケーキの飾りものである。食材名と言うより、緑色の砂糖漬という商品形態名だと思っていたのだが、本当はそうではないようだ。しかし、どう見ても、蕗に色をつけたものが闊歩しているような感じがするが。

 ともあれ、アシタバは美味しいというより、なんとなしの薬臭さがウリなのだろう。体によいかも、と考えるからだ。おそらく食べつけているうちに、病みつきになるのではないか。

 小生は、膳に出されれば喜んで食べるが、好みではない。それに、スクスク成長すると言われている割りには、他の葉野菜より値段が高い印象があり、買う気が失せる。芹やセロリの方が好きなので、わざわざ慣れない苦さを味わう気にもなれないし。
 茹でて、ビタミン・ミネラルをしっかり摂取したいだけなら、どう見てもホウレンソウの方がよさそうだし。(2)

 しかし、人気上昇中らしい。健康に関心が高まっているからである。
 苦味成分に含まれている生理活性物質が魅力の素ということなのであろう。ただ、その機能解明はまだまだ途上のようである。(3)

 --- 参照 ---
(1) 「セリ科シシウド属」 oNLINE 植物アルバム 宮城教育大学 環境教育実践研究センター 安江/鵜川研究室
   http://plantdb.ipc.miyakyo-u.ac.jp/php/search.php?zokumei=%A5%B7%A5%B7%A5%A6%A5%C9%C2%B0
(2) 食品成分データベース JSTA http://fooddb.jp/
   野菜類/ほうれんそう/葉、ゆで http://fooddb.jp/details/normal.pl?ITEM_NO=6_06268_5
   野菜類/あしたば/茎葉、ゆで http://fooddb.jp/details/normal.pl?ITEM_NO=6_06006_5
(3) 南晴文,他: 「アシタバの機能性に関する研究と特許出願の動向」 東京農総研研報3 [2008年]
  http://www.tokyo-aff.or.jp/center/kenkyuseika/khno03/no03_05.pdf
(アシタバの花序の写真) [Wikipedia] photo by sphl http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Angelica_keiskei_leaves.jpg


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