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2008.11.4 |
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大蒜の話…ニンニクを 二人で食べて 臭さ満ち 嬉しくもあり 悲しくもあり ニンニク料理を食べるには相当な勇気がいる。 ニンニクの特徴はなんといっても、切ると発生するその強烈な臭さ。ユリ科ネギ属[Allium]が持つアリル系硫化物が元凶とされる。 しかし、タマネギとニンニクは大きく違う。ニンニクは催涙物質が余り発生しないこともさることながら、食べた後も何時までも臭気が発生するからだ。 どうなっているのかよくわからないが、その化学変化は以下のようなものとされている。(1) 「前駆体」 | 酵素(アリナーゼ)反応 ↓ 「中間体」 → 「誘導体」 | 加水分解 ↓ 「アリシン」 それはそうなのかも知れぬが、こんな大雑把な化学反応を教えてもらったところで、素人にはなんの面白味もない。もっとも、ウエブには、「アリシン」話ばかりだから、そうでない人の方が多いのかも知れぬが。 小生は、そんな化学話より、臭気成分の話を聞きたい。 そこで、探したら、流石日本の研究者、しっかりと分析しているようだ。 研究発表によれば、ニンニクの臭気の正体は3つある。「香ばしい臭気」、「生ニンニク臭」、「不快臭」。(2) 驚いたことに、「香ばしい臭気」とは「アリルメルカプタン」だと。その昔、学生実験で、クラクラするような強烈な臭気を体験させられたので忘れようがない「メルカプタン」という名前だ。官能とは、不思議なもので、多分、微量ということだろう。多量になると逆の作用になるのでは。素人の推量だから間違っているかも知れぬが。 一方、「不快臭」とは、「生ニンニク臭」成分が、体内酵素で分解された結果だという。この物質、食後16時間も持続するというからすごい。 その場しのぎで臭いが消えないのも道理。 この数字を知ると、漢字で「大蒜」と書きながら、オオヒルとは呼ばず、ニンニクとした理由もわかる気がする。仏教用語の「忍辱(にんにく)」から来たらしい。(3) おそらく、“強烈なにおいを耐え忍ぶ”という物理的な話ではなく、食べてはならぬとの戒をつい破ってしまい、臭気をいつまでも発散させている己の姿を見て、僧侶が心理的に耐え忍んだということだろう。含蓄がある名称だ。 もっとも、貝原益軒はそんな失礼なことは言わず、「匂憎」としたようだが、説得性は今一歩。 ともあれ、流石に、これだけ臭ければ、僧侶も「般若湯」のように名前を換えて楽しく食す訳にはいかなかったと見える。 ただ、丸のまま料理すれば、なんとかなったのではないかとも思う。 それに気付いたのは、たまたま通りがかりの店に入ったら勧められたのがニンニク揚げ物だったから。 ニンニクの塊をそのままの形で低温で油で揚げるだけの料理。皮を剥いて食べたのだが、臭気はほとんど感じられなかった。まあ、芋のようなものに近い。 と言うことは、焼芋や蒸芋のような調理が可能ということになる。 だが、そんな調理方法を知らなかったとは思えないから、この臭気あってこその食材と言うことか。 --- 参照 --- (1) Eric Block, et.al.: “Organosulfur chemistry of garlic and onion: Recent results” Pure & Appl. Chem. 65(4) [1993年] http://old.iupac.org/publications/pac/1993/pdf/6504x0625.pdf (2) 「ニンニクの不快臭」の口臭発生メカニズムを解明 夕食時に食べた“ニンニク”は、 翌日の昼まで“嫌なニオイ”が“全身”で発生」 〜5月21日〜23日に開催される『日本栄養・食糧学会』で発表〜 ライオン [2004.5.17] http://www.lion.co.jp/press/2004033.htm (3) 「日本におけるニンニクの歴史」湧永製薬 http://www.wakunaga.co.jp/garlic/history/japan.html (アリシンの構造) [Wikipedia] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:R-alllicin-3D-balls.png 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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