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2009.3.31 |
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葛の話…高圓の 野辺延ふ葛の 末つひに 千代に忘れむ 我が大君かも (万葉集二十巻 4508) 大中臣清麻呂を偲ぶための宴での歌。 奈良の都でも、葛は野で良く見かける植物だったようである。 何時までも生き延びる強さに感慨ひとしおということか。 葛は、もともとは、大和国の国栖で栽培されていたものだ思っていたが、どうも勝手に繁殖していたようだ。 米国南部では、余りにしぶとく、どうにもならないのでこまっているようだ。(1) 山を歩くと、葛の花が咲いているのを見かけることがある。自然のなかで静かに生きている可憐な花だと思っていたが、その見方が変わってしまった。 人が手を入れたため、今まで生えていた植物がなくなり、日当たりがよくなったのを見透かして、繁殖したということのようだ。 吉野山は人の手が入ったので、葛が広がったと考えてもよさそうである。 まあ、山なら繁殖したところでたいした問題ではないが、こんな強い植物の蔓にそこいら一面を覆われたのでは農業どころではなくなる。一般には喜ばれる植物ではなかったのかも。 現在は、国内産は限られており、海外産(台湾、中国本土、韓国)の国内加工品が大半のようだ。 葛きりは、大半がジャガイモ澱粉で、葛を僅か加えるだけのものらしい。まあ、葛餅も小麦粉澱粉が大半だから、そんなものだろう。 もっとも、現在でも、山から葛の根を掘り出すビジネスを続けている生産者もいるようだ。 根は深く、重さ4〜5Kgのものを掘り出すのだから、たいへんな重労働である。(2)しかも、材木のようなもの。 これでは、普通の土地で栽培したのでは、地面深く丸太が刺さったようになり、とても掘りだせるものではなかろう。土地が適度に固い山なら、浅いところを横に這うだろうから、かえって掘り易いということか。 根を取り出してからも大仕事。根の硬い繊維の間に澱粉が溜まっているということなのか、えらく大変な処理だ。 ジャガイモが優れた野菜であることがよくわかる。 --- 参照 --- (1) “The Amazing Story of Kudzu” http://www.maxshores.com/kudzu/ (2) 09.2.10「本葛粉」ができるまで その1 http://ls.macrobiotic-marche.jp/blog3/2009/02/092101.html 09.2.26「本葛粉」ができるまで その2 http://ls.macrobiotic-marche.jp/blog3/2009/02/092262.html (葛のイラスト) (C) 素材屋小秋−季節の挿絵イラスト館− http://www.koakishiki.com/sashie/index.html 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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