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2009.4.21
 
 


夏蜜柑の話…


  散歩道 ふと眺めれば 夏みかん

  夏蜜柑の実の黄色は目立つ。食べる鳥もいないようだ。
  使われずに朽ち果てるのだろうか。
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 炬燵に入りながら、蜜柑の皮を剥くというのが季節感溢れるシーンだったが、今やそんな感覚は消滅。
 夏のような暖かさだというのに、スーパーには美しいみかんが山のように並ぶ。
 ブランド名がついているが、どう違うのか、さっぱりわからぬ。

 その上、伊予柑、八朔、デコポンまで一緒にならんでいたりする。さらに、輸入のグレープフルーツと数種類のオレンジ類まである。
 伊豆辺りでは、この他に地場の黄金柑まで登場する。
 まさに、柑橘類の満艦飾状態。

 ただ、夏蜜柑だけは、片隅に追いやられているようだ。時期が悪いという訳ではない。果物とは無関係なお店で売っていたりするから、そろそろ旬なのである。もちろん、形も大きさもバラバラで、見栄えも今一のものだが。スーパーでは売れそうにないから、そんな所に並ぶ訳だ。

 もともと、夏蜜柑は、庭先によく植えられていた柑橘系植物。“夏”という名前が示すように、果物の端境期の初夏に食べれるから、人気があったのだろう。昔は、果樹園も沢山あったろう。しかし、甘くて簡単に皮が剥ける蜜柑が一年中登場してしまえば、夏蜜柑ビジネスは難しいということか。

 伊豆辺りには、未だに、この手の酸っぱい柑橘類が結構植わっているようだ。
 そのなかで、熱海がだいだい生産地として、頑張っているとか。まあ、良く知られているように、基本的にはポン酢(1)用だが、マーマレードも特産品化している。(ところで、夏蜜柑とは夏ダイダイ。言うまでもないが、ダイダイは酸味が強すぎる上、苦味もあるから、実を食べる気にはなるまい。しかし、その香りは高く、嬉しいものだ。)

 それはともかく、伊豆で見かけた不揃い夏蜜柑を早速購入した。もちろん、即刻マーマレードに。夏柑らしさがなんともいえない喜び。(多分、この酸味と苦味が嫌いな人は多いから、お勧めはしないが。)
 柑橘系の酸っぱさと、苦味を愉しむことも、だんだん難しくなっていくのだろうか。

【参考: Marmaladeの作り方の一例: 所要時間は3時間。】
・無農薬、無ワックス、無防黴剤の夏みかんであることを確かめる。
 (無傷で美しく光っているものがある筈がない。)
・ブラシで皮を洗ってから、実と皮を分ける。
 (剥き易い方法で。)
・実は袋の薄皮と種を完全に取り去る。
 (実は潰れてもかまわないから繊維を完全に取る。皿上で作業し、出た液は逃さず使う。)
・皮は水にしばらく漬けて柔らかくして、内側の白綿部分の表面をスプーンで取り去る。
 (皮の裏を完璧に除去すると野趣が失われる。残しすぎると苦いと聞く。)
・その皮を千切りし、小一時間程度水で晒す。
 (水を換えながら。)
・鍋に皮を入れ、浸る程度の最小限の水で少し煮て、皮が柔らかくなったことを確かめる。
 (この段階で絶対に砂糖を入れぬこと。)
・実と溜まった果実液を入れ、煮えてから、砂糖を少しづつ加え、さらに煮込む。
 (砂糖の量は、味を見ながら決めればよい。)
・市販のペクチンを適当量入れ、さらに煮込む。
 (投入量に神経質にならないこと。入れなくても、ダラダラ水っぽいだけで、これはこれで美味しい。)
 (皮の白綿を残して、ペクチンにする方法が推奨されているが、素人は避けた方が無難。)
・冷めたら冷蔵庫保存。余りもたないから早めに使う。
 (熱いうちに瓶に入れ、蒸気殺菌して蓋をすれば、長期保存できるが面倒だ。)
・イギリスパンの表面カリカリのトーストにつけると実に美味しい。もちろん、好き好きだが。
 (使い方は色々。
[BBC Cooking http://www.bbc.co.uk/food/recipes/mostof_marmalade.shtml])

 --- 参照 ---
(1) 「だいだい味付け味ぽんず」 地域活性化センター 特産品倶楽部
  http://www.tokusanhin.jp/products/shizuoka/236/“Marmalade”
(夏みかんのイラスト提供) (C) 壁紙TANK



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