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2009.8.25
 
 


空豆の話…


  空豆の 青さが沁みる 夏盛り

    空豆には、枝豆とは違った緑の鮮やかさを感じる。
    冷酒の味も引き立つ。

↑ (C) 無料イラスト素材 イラストバンク
 “国内産のソラマメは11月から翌年の8月まで出回”(1)るそうだ。言い換えれば、9月と10月だけは、お店から消える豆ということか。
 夏になると、塩茹で豆がいつまでも登場するから、旬は盛夏と勘違いしがちだが、もともとは梅雨の頃。昔は、「蚕豆賣」が来たりしていたらしい。その後に、「青梅賣」、「竿竹賣」と続いていた模様。そして、蚊帳の季節に入る。(2)

 時期外れ品が高値になるということで、ここまできたのだが、空豆ごときにというのは失礼かもしれぬが、よくそこまで面倒なことをしてきたものである。
 “種子を一昼夜浸水し、2〜3mm幼根の出たものを低温処理(3〜5度)してから播きます。言うならば冬を越したと、ソラマメに錯覚”(3)させたりして、収穫時期を広げてきたという。

 そんな農業もいつまで続けられるものやら。
 そう思うのは、最近は剥き蚕豆が多くなっているから。そんなことをしたら、味が落ちるのは間違いない。どう考えても、煮物向き。そんなものを食べる位なら、旬の採り立て冷凍品にしたらよさそうに思うが。

 まあ、わからないでもない。嵩張って空気だらけの莢に、豆が三つしかはいっていないのだから。山盛り莢を買って剥くと豆の量は極く僅かだからだ。
 しかし、美味しいものを食べたいなら莢に限る。乾燥しないということもあるが、莢の色を見れば、素人でも、鮮度が一目瞭然。(緑色で艶があり、黒色が出ていない。)
 だいたい、莢を剥くのにそれほどの手間がかかるというものでもあるまい。

 まあ、そんなことに関心を示す人は、日本酒好きの少数派か。 枝豆はビール、蚕豆は日本酒というイメージがあるだけのことだが、日本酒好きはテンマメと呼んだりして特別扱いしていることもある。コレ、どう見ても、呑み屋言葉。天豆メニューが出てくる店は正統派ということ。その場合は「塩茹」ではなく、味がより深く感じる「焼」が基本。(今時、そんな面倒なことをする店は呑み屋とは呼べなくなっているが。)
 ソラ豆の空はカラで気に食わぬ。空なら、初夏の「天」でもよかろうという、言葉遊びだろうが、一種の感慨を覚える。
 と言うのは、もともと、家庭では、お多福豆と呼ばれていたからだ。呑み屋がそんな言葉を嫌うのは当然だが、寂しいことに、一般社会でお多福豆という言葉をさっぱり耳にしなくなった。
 そんな心の余裕もなくなりつつあるのかも。

 --- 参照 ---
(1) 「旬の食材図鑑 ソラマメ」
  http://www.shunmaga.jp/zukan/yasai/soramame/soramame.htm
(2) 島崎藤村: 「短夜の頃」 [青空文庫]
   http://www.aozora.gr.jp/cards/000158/files/46402_27009.html
(3) 相馬暁(北海道立中央農業試験場): 「そらまめ 空豆 蚕豆」
   http://www.agri.pref.hokkaido.jp/nouseibu/soma/index/sora.htm
(ソラマメのイラスト) (C) 無料イラスト素材 イラストバンク


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