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2009.11.24 |
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菱の話…君がため 浮沼の池の 菱摘むと 我が染めし袖 濡れにけるかも柿本人麻呂 [万葉集巻七1249](1) 山崩れで出現した三瓶山浮布池(2)で恋人を想っての歌。蛇恋伝説もベースにありそうだ。 今は、滅多に見かけないが、昔は、溜池や潟には菱や蓮が生えていた。そのため、初秋になると、その実を食べていたようだ。 塩茹でらしいが、(3)工夫した料理で楽しんだりすることもあった。 アイヌ民族にとっては、特別な植物だったそうだ。もちろん、菱採り歌もあるし、ベカンベ祭りで感謝の念を示したという。穀物栽培が難しい地域では、有難い作物だったのだろう。 しかし、穀物栽培に徹している地域では、干拓等による水田化が進み、菱は消えさっていったということのようだ。 今、まともに残っているのは、佐賀県神崎市千代田町下直鳥のクリーク位ではないか。 棘がある上、水面の植物なので収穫が面倒だから、続けるのは大変そうだが、観光の目玉としてなんとか残そうというところか。ハンギー(半切桶:タライ)に乗って収穫する風景がウリのようだ。(4) 従って、そう簡単に神崎産菱の実は手に入らないようだ。時に、大きな菱の実が売られていることがあるが、他の産らしい。形からみて、日本の伝統種ではないから、中国の栽培種を導入したものだろう。珍しい作物ということで、ビジネス展開を図っているのだろう。 と言っても、料理方法を知っている人はいないから、茹でて食べるだけか。まあ、見かけなくなった位だから、それほど人気が湧くとも思えないが。 本格的に菱の実料理を食べたければ海外に出るしか手はなさそうである。(5) --- 参照 --- (1) http://etext.lib.virginia.edu/japanese/manyoshu/Man7Yos.html#1249 (2) 「浮布池 〜天然ダム〜」 島根県立三瓶自然館サヒメル http://nature-sanbe.jp/sahimel/muse/geo/19.htm (3) 「菱の実の食べ方&調理方法」 http://www.asahi-net.or.jp/~yt8m-sgmt/ainu/astudy/ainu110914.html#eat 「菱の実を扱っているところ」 http://www.asahi-net.or.jp/~yt8m-sgmt/ainu/astudy/ainu_hishi.htm (4) 「佐賀県神崎市 特産品紹介 菱」 http://www.city.kanzaki.saga.jp/tokusanhin/nousanbutu.html#Anchor-23240 (5) 「官田菱角」 交通部観光局 http://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003118&id=5959 「菱角炒蝦仁」 新浪公司 (2009-10-30) http://blog.sina.com.cn/s/blog_55afdfe50100fpmj.html?tj=1 (ひしやんよ〜) 社頭文吾: 「ひしやんよ〜」 ぶらっと!」 [2007年09月25日] http://www.burat.jp/members/writerblog/entry_disp.200609201200-0010067.200708220600-5000017.200709250505-5000026 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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