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1999.12
 
 


情報技術分野(ハード)の研究開発費比較…

 日本の研究開発費は統計によれば、GDP比率で圧倒的に欧米を凌駕する。この数字を見て、日本はこれから復活すると安心している研究者も多いようだ。しかし、ミクロで見るとどうなるか。

 1999年レベルで、情報技術の分野で日本企業と海外企業の状況を比較してみよう。

 日立、富士通、日本電気、東芝、三菱電機の研究開発費は対売上比5〜7%といったところだ。ハイレベルとは言えないが、不況下でもあり、今までの常識からいえば、巨額な投入といえよう。経営者の研究開発への積極姿勢を示している。
 欧米の企業では、IBM、Hewlett-Packard、Xeroxが同じレベルだ。日本企業も結構頑張っている。---というのは伝統的見方である。

 実は、この3社の対売上比の数字は、欧米のリーダーとしては例外的に低い。Lucent Technologies、Compaq Computer、Motorora、Intel、Cisco System、Texas Instruments、Sun Mycrosystems、Northern Telecom、Ericsson Telefon、Nokiaと、どの企業も投入は対売上比率は10%を超えているようだ。勿論、絶対額でも日本企業に引けをとらないレベルだ。

 マクロの統計だけを見ていると、GDP比率が高いので日本企業は研究開発に熱心そうにみえるが、戦略的な分野に集中して資源を投入している証拠は無い。
 現在、日本企業は事業分野毎の採算性を強く打ち出している。情報分野はもともと弱体なのに加え、この経営指針を遵守するため、研究開発費はこれ以上投入できそうにない。研究開発費で見ると、日本企業は追い詰められてきた可能性も否定できない。

 半導体分野は、このレベルではない。National Semiconductor、Advanced Micro Devices、LSI Logicの投入はさらに高く対売上比で20%を越す。すでに研究費絶対額でも、日本の大企業と互角だったり、それ以上の規模になってきた。

 情報技術分野では、ほとんどの欧米企業が挑戦的姿勢で研究開発を進めているのだ。この動きが成功裏に進めば、21世紀初頭に大きな技術力格差が生まれることになろう。


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