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1999.12
 
 


デジタル・ディスプレー分野での成功…

 「米国企業はディスプレー領域での戦いをほぼ諦めており、特に、美しいフラット・ディスプレーは日本企業の独壇場になる。」と語る人が多い。確かに、大型画面の液晶やプラズマ・ディスプレーの先端を走っているのは日本企業である。その理由は、高度かつ高品質な機能材や製造プロセス技術が優れていることと言えよう。しかし、それ以外の技術分野では、必ずしも優れているとは言いがたい。
 
 先端を走っているというなら、日本でデジタル対応ディスプレーが最初に開発されそうに思う。ところが、いち早く開発したのはビューソニックだ。ディスプレー技術で世界の先頭を走ると称している企業である。日本企業のように「ナンバー・ワンは自社」と職人芸的に技術を磨き頑張る方策もあるが、この企業は世界最良の技術をいち早く取り入れ、超ハイスピードで製品化することでナンバー・ワンになれると考えている。始めから、戦う土俵が違う。
 
 日本企業の技術体系は、情報技術活用型でなく、材料を中心とするモノつくりに偏重している。狭い視野で競争を続けていると、このような企業の登場で、競争力を失なう可能性もある。

 もう1つ問題がある。言うまでもなく、デジタル・ディスプレーは、コンピュータ無しでは動かない。接続ソフトが無い限り、いくら美しい部品をつくっても利用できない。インターフェースは急所だ。
 ところが、デジタル・ディスプレーに強いといっても、若干の例外もあるものの、日本企業はこの技術で先を走っている訳ではない。Silicon ImageのTransition Minimized Differential Signaling技術が先行しているからだ。この分野では、プロセッサの動向をを無視しては動けないから、インテルが技術力を評価している限り、この技術が今後の主体とならざるを得まい。
 Silicon Image以外では、今のところはChrontel Inc.、Texas Instruments、THine Electronics(日本の半導体ベンチャー)しか対応しないようだ。
 同様に、コネクタはFoxconn、JAE、Molexといった企業がリードしていく模様だ。

 この現象を見ていると、日本企業はモノ作りの個別要素技術には優れているが、デジタル情報技術の波に乗っているようには見えない。


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