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2000.3.12
 
 


韓国のDRAM事業…

 日本人は「モノつくり」が得意だからDRAM作りに向いているという話を80年代に聞かされた。今やDRAM生産の王者は韓国企業だ。一体どうなったのだと、誰でも考えるだろう。

 少なくとも、韓国には半導体技術の蓄積は無かった。ソニーや東芝のように歴史的にダイオードやトランジスタ技術を培っている企業があった訳ではない。それなら、短期間にどのように技術蓄積したのか。

 韓国の事実関係を整理しておこう。
 ・素材たるウエハ、高純度化学品はすべて輸入購買。
 ・高度な設備・装置はすべて輸入購買。(機器運用技術は機器メーカー依存。)
 ・設計技術は導入。(最先端でない製品についてはマスク購買。)
 ・MOS工程技術は導入。
 これだけ見る限り、技術は何もなかったといえよう。例えば、三星の場合は日本企業から導入できずマイクロンの技術で出発した。当時は日本企業全盛である。技術で勝てる根拠などなかった。
 ということは、資金調達さえできれば、参入容易な事業と言う判断は正当だったことになる。といっても日本の新規参入者は上手くいかなかった。どこが違うのか。(半導体摩擦、円高の議論はしない。)

 考えられることは、技術を育む構造の優越性だろう。優秀な人材を採用し、短期間に育成する仕組みのことだ。

 三星の場合、シリコンバレーにSSIがある。この存在が鍵だ。OEMを始めとする事業をこの組織を通じて進めているから、米国の技術を間断無く取り入れる仕組みができあがったのだろう。ここが「ヒト」を育てあげる拠点になっている。本国の技術を向上させるために、米国内組織は本国と緊密な連携プレーで動いて来たといってよいだろう。日本流に言えば、この組織は半導体技術研修センターを兼ねたということだ。当然ながら、優秀な人材のリクルートも容易になったと予想される。

 細かな技術開発を社内のグループで追求していく、日本の職人養成型のシステムより、こうした仕組みの方が人材育成効率が良い可能性がある。ユーザー密着型で開発を進める体制は日本企業以上だという説もあり、見習うべき点もありそうだ。

(注)
LG Electronics--Goldstar Electronics, San Jose, IL (1983); GSEA, San Diego, CA
Hyundai Electornics--Symbiosis Logic, Fort Collins, CO (1994); SEMR Research Institute, San Jose, IL
Sansung--Samsung Semiconductor, Santa Clara, CA (1983); Harris Semiconductor; Advanced Graphic Technologies



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