↑ トップ頁へ |
2000.3.12 |
|
|
パソコンのボードでは日本企業は登場できまい…パソコンの基本ボードといえば、不可欠なマザーボードと、拡張性を活かした高度な音と映像を実現するサウンドボードとグラフィックボードがあげられよう。この3つは性格が違う。どの領域でも日本企業の出番はほとんど無い。マザーボードはCPUを搭載する基本的な回路基板をさす。この分野は、台湾企業の一人舞台と言ってよかろう。次々とグレードアップしていくCPUに対応する製品を短期間に開発するには、一早くCPUの情報を入手し、早急に設計を終えて試験に入れる体制が不可欠だ。日本国内で開発しても、組織的動きが遅すぎて勝負になるまい。完璧をきした製品作りこみではなく、スピード優先の世界だからだ。もともとは、電子部品のアセンブリ試作をする上で、秋葉原の存在が大きかったが、その時代は80年代に終わった。台湾にも同様、あるいは、それ以上の市場が確立している。 サウンドボードについては、シンガポール企業が世界標準を決めている状態だ。「サウンドブラスター互換」が普通のパソコンである。価格がとれないサウンド部分に興味を示す企業は少なかったなかで、パソコン・ユーザーのニーズに的確に応え発展することで、デジタル・オーディオの波に乗ったといえよう。 日本には、ビジネス用途を除くと、ユーザー数は小さく、ソフト提供を始め、インフラ自体が極めて貧弱だ。パソコンのオーディオ・ニーズそのものが脆弱である。しかも、パソコンのみならず、オーディオ機器のリード・ユーザーも海外になっており、日本国内での開発自体が益々不利になりつつある。国内ユーザーをターゲットにして日本企業は決定的に不利だ。 というのは、この分野は、ユーザーを獲得する「標準化」競争で勝つことが重要だからだ。例えば、かつて、東芝がドルビーを越える高性能ノイズ・リダクション技術を提案したことがある。結局消滅せざるを得なかった。ドルビーは技術内容を公開しておらず、技術の発展を考えて融合化する話しさえ生まれなかった。現在も、PCサウンドのホームシアター化に当たって、ドルビーは5.1チャネル技術のライセンサーとしての地位を保持したままだ。 もうひとつは、デジタルソフト提供能力の問題だ。ハードを活かすアプリケーションは技術開発促進の鍵である。アナログ音源技術と専用IC化技術は、デジタル化すると意味が薄れる。技術がソフト化するからだ。(CODECがハードからソフトに変わるようなもの)国内にはデジタルサウンドのソフト技術者の絶対数が少ない。従って、海外の人的資源利用は不可欠なのだが、そのためには、対応可能な基盤を確立する必要がある。この観点で見ると、遅れていたり、全く手付かずの企業さえある。 グラフィックボードは約半年毎にアップグレードしている。99年段階では、以下のブランドが形成されているとはいえ、変化が凄まじい。CPUのパワーが追いつかないほどである。 ・3dfx社のVoodoo ・nVidia社のGeForce ・S3社のSavage ・matrox社のMillennium この分野は、画像をどう利用するかによって、ハードの利点が生きるかが決まる。従って、利用方法が変われば、新リーダーが登場する可能性はいくらでもある。インタラクティブなTV放送やプラグインがどのようになるかは、まだまだ不透明だからだ。といって、日本企業にチャンスがあるとはいえまい。これらの企業の母体は、並列コンピュータ・アーキテクチャーや高速処理ソフトの先端技術開発に従事していた研究者・技術者だからだ。この分野は日本は比較にならない程層が薄く、しかも人的資源が偏在している。 という状況にもかかわらず、プレイステーション2が2000年に上市され、グラフィック機能を突然飛躍させることに成功した。といっても、新しいアーキテクチャーが投入されたのではなく、言わば幅が広がり高速化しただけともいえる。そうだからといって、すぐに追従はできまい。といっても、パソコンにはゲーム機に無い柔軟な拡張性という特徴がある。新技術やアップグレードを頻繁に行える。同等レベルの機能実現が2000年内で実現するなら、大きな流れは変わるまい。 逆に、追いつけないとしたら、プレイステーション2がブロードバンド時代の家庭用パソコンになれるポテンシャルを持つということだろう。 技術力検証の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2004 RandDManagement.com |