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2000.3.12
 
 


組み込みCPU…

 「システムLSIとは組み込み型CPUの呼び変えだ。これは日本企業の一番得意な領域だ。」という人が増えている。検討しておこう。

 実情ははっきりしないが、IDCのレポートなどを参考にすると、99年段階で組み込み型CPUは50億個に迫る市場をつくっているらしい。
 とはいっても4ビットの古典的製品も2〜3割はあり、本格的な16ビット以上のハイエンドはまだ1割位だという。しかし、これからは、ハイエンドが倍増ゲームになりそうだ。高度な個別機器需要が膨れあがるからだ。実際、モバイルギア、ゲーム機器、デジタル型のオーディオ・ビジュアル機器の上市が目白押しだ。これらのスタンドアローン型製品を見て、ついに「日本の出番だ」と期待する人が多い訳だ。確かに、短期的には産業は伸びると言えよう。しかし、技術競争力が強化されるとは限らない。

 組み込みCPUには、2つの別な技術体系がある。技術を考える時は、この2つを分けて考える必要がある。

 1つは、機器を活用するソフトである。例えば、ビデオ機器なら、すでにハードでは基本的機能は大して変わらない。そこで使い心地で差別化するしかない。このソフトがICに生め込まれる。これは、家電製品設計のノウハウそのものだ。今までの蓄積では、圧倒的な力量がある筈だ。この活用ができるかが競争力向上の鍵である。

 もう1つは、純粋な半導体設計である。

 システムLSI化の流れというのは、前者からいえば、ソウト外販力が要求されることを意味する。後者でいえば、マスクの部分販売まで行われることを意味する。要は、個別設計であった組み込みCPUが、技術移転がIPの形で簡単にできるように、設計・製造がシステム化されることと言えよう。製品に付加価値をつけるため、半導体事業それ自体は儲からないなどといった間違った発想の企業に対する挑戦である。価値は設計にあるなら、ここで利益があがるビジネスモデルが正しい筈という考えである。単なる部品のアセンブリは価値が出ないなら、それを自社でやる必要はあるまいという主張だ。
 要は、半導体の設計・製造で鍵を握る部分を明瞭にしていくプロセスがこれから本格化する。これがシステムLSIへの流れである。


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