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2000.3.14
 
 


台湾のパソコン産業の強み…

 台湾の経済成長は政府統計によれば96年5.7%、97年6.8%、98年4.8%と堅調に推移し続けている。99年は5%台後半、2000年は6%近くが見込まれる、とのインベスターの意見を耳にする。まさしく、電子情報産業が好調なためである。

 台湾がパソコン関連部品で強いのは良く知れれている。特に、圧倒的シェア誇るのがマザーボードだ。しかし、今や、周辺商品のモニターやスキャナーでも市場の過半を制したと言われている。電源やキーボードだけでなく、グラフィックカードやネットワークカードのシェアも3割を越えているようだ。

 周辺商品や部品だけではない。ノートブックパソコンのシェアもうなぎ上りだ。80年代初頭は、なかなか先端製品は開発できなかったのだが、いまや先頭を切る勢いである。もともと、ASTやAcerといったメーカーは知られていたが、こうした企業を目指して他の企業が次々と積極的事業展開を図っている。99年の米国商務省のレポートによれば、様々な台湾企業が(Inventec、Tatung、GVC、First International、Elite、Quanta、Twin Head)世界の代表的メーカー(デル、コンパック、IBM、ヒューレット・パッカード、NEC、東芝)にOEM供給しているという。ホームページやニュースから判断すると、この他にも、多数の台湾企業が参入している。どの企業も開発スピードとコストでは、日本企業より圧倒的優位に立っている。部品注文後1〜2時間到着などという、考えられないようなジャスト・イン・タイム体制さえ可能な企業さえある。しかも、点検や組み立て等の人力部分は中国本土の工場を利用している。これでは、日本企業はファッショナブルな製品か、魅力的な付加機能を持つ製品を提供する以外、とても太刀打ちできまい。それでも、価格低下の波に洗われるから収益低下は避けられまい。

 製品開発スピードとコストの強みばかり強調すると、台湾企業の技術力を見逃しがちだ。パソコンの基幹部、マザーボードの競争は製造コスト優位だけでは勝てない。卓越したロジック設計技術力は必須である。メモリーに注力していた日本企業はこの分野では力を発揮できなかったのだ。CPUメーカーのインテルとAMD以外のチップセットの代表メーカー、Acer Laboratories(ALi:Aladdin)、Silicon Integrated Systems(SiS)、VIATechnologies(VIA:Appollo)はすべて台湾企業なのだ。

 VIAは、従業員500名でうち7割がエンジニアだという。ロジック設計技術力とシリコン・ファウンドリーとの提携により、高度な製品を低コストでタイムリーに上市する体制を確立したのである。その上、Cyrix III Processor事業を買収することで、2000年にはCPU、Joshuaを登場させる。このことで、台湾企業はCPUからチップセット、メモリー、ボード、さらには、周辺機器まで揃えており、文字通り、世界のパソコン技術開発の拠点になったといえる。台湾企業にとって、日本企業の力が必要な領域は、一部の電子部品だけになった。


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