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2000.6.19
 
 


半導体設計CADは海外品…

 LSI技術の核となるのは、設計技術である。この技術力は、論理記述、配置配線、アートワーク、設計検証ツールといった分野でのソフトウエア(CAD)の運用スキルに大きく依存する。
 日本の半導体メーカーが用いているソフトウエアを開発してきた代表的企業は、海外のCadence、Synopsys、Avant!である。半導体技術者にとっては、こうした企業のソフトを活用して設計方法を学ぶことが最低限必要なのだ。といっても、これだけで十分ということはない。この分野は奥が深い上に範囲も広い。既存ソフトの性能を凌駕するソフトの開発、細部の電子挙動まで考慮する物理設計への挑戦、ソフトの統合化、利用者が使いやすいインターフェース提供と、次々と新規参入が現れるからだ。
 基本を学び、新しい動きを早めに採り入れていくことが不可欠なのである。

 日本企業が弱体なのは、この分野の人的資源がもともと少ない上に、人材供給の仕組みつくりに手を抜いてきたからだ。しかも、新たに登場してくる企業への門戸開放スピードも遅いから、新規ソフト開発者は日本市場を避けがちだ。これでは技術は先細りになる。

 しかも、こうしたソフトが稼働するコンピュータも非日本製が多い。SUNかHPのワークステーション(UNIX)が主流だ。OEMもあるのだが、欧米と比較すれば、サポート体制は弱い。

 要するに、海外発の既存設計ソフトで育成された人々のコミュニティが確立しており、この分野で、日本企業版のプラットフォーム構築は当面考えられないのだ。当然ながら、このコミュニティのなかで技術潮流が決まる。孤立すれば、技術進歩に取り残される可能性が高い。
 企業独自開発の「孤高」のプラットフォームにこだわり、イノベーションを目指す覚悟なら別だが、コミュニティに積極的にかかわり、海外ソフトを早く取り入れてプラットフォームを構築して、徹底的に利用する体制を目指すべきではなかろうか。今のところ、欧米と比較すると、そのような熱意を持つ日本企業は少数派のようだ。

 といっても、日本企業の海外現地法人の動きは全く違う。日本企業は、国内でなく、海外で先を走る計画なのであろうか。その典型例をNEC Electronicsのプロジェクト「ACE-2」(http://www.necel.com/home.nsf/HTMLPages/ACE-2)に見ることができる。3年間で圧倒的な合理化が可能な仕組み作りに挑戦している。

 ちなみに、同社が選定したソフトの開発企業は、ハードウェア・ソフトウェア協調設計がCoWareとCadence Design Systems、ソフトウェア/ファームウェア検証用はCARDTools Systems、ハードウェア・ソフトウェア協調検証用はMentor GraphicsとSynopsys、RTL検証用はVerisity Design、RTLデザイン・プランニング用はTera Systems、マッピング用はSynplicity、タイミング検証用はSynospsysである。
 この分野では、日本の知恵は必要ないと見られている訳だ。


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