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2000.7.5
 
 


液晶TVで独走できるか…

 シャープは、3〜500型までの全てのディスプレーを液晶で実現する「クリスタルAVワールド」構想を打ち出している。 (http://www.sharp.co.jp/sc/library/journal-74/9-3-2b.htm)

 この構想によれば、30型までのブラウン管TVは21世紀初頭に液晶TVに変わる。この構想に沿って、同社は着々と事業を進展させている。98年6月に就任した新社長方針で「液晶のシャープ」の動きがさらに加速されたようだ。

 特に、液晶TVで後続を振り切るような積極的な動きが目立つ。95年に10.4インチ、98年には12/15インチ、99年には20インチと一気呵成に展開が進んだ。2000年1月には、ついに28インチ液晶ディスプレイTV(ワイドタイプ)を発表した。ブラウン管なら30インチ相当だから、これで構想に沿ったラインナップが完成したことになる。

 28インチなのに、厚みは6cmと薄く、低反射、低消費電力である。こうした液晶のメリットが目立つのは当然だが、ブラウン管にかなわないと考えられてた輝度も、同等レベルに達したし(450cd/m2)、十分な広視野角(上下左右160度)も実現できた。特に懸念されていたランプ寿命も実用上問題ない。こうなると、普及のバリアは価格だけといえよう。(標準価格は税別1,100,000円、月産台数500台)(http://www.sharp.co.jp/sc/gaiyou/news/000126-1.html)
 当然ながら、解像度はブラウン管を越え、パソコンと同一レベルになった。(1280x768)パソコンにも接続可能だ。ところが、パソコン画面とはかなり印象が違う。画面が明るく美しい。

 こうした美しい画面は、材料技術を中心とするカラーフィルターと補正回路で初めて実現可能になる。かねてから、パソコン利用者は、カラー表現を統一するような要求を出してはいたが、ビジネス中心のパソコン系の技術者は対応を遅らしてきた。美しい画面を生命線と考える家電系技術者の対応は全く違うことを示した好例といえよう。技術者の頑張りで完成度が高まったのだ。

 理屈からいえば、完成度が高い製品で先行した企業が、低コスト生産をいち早く実現さえできれば、圧倒的な独走体制に入れる。しかし、デジタル放送で細かな文字のコンテンツに人気がでれば別だが、28インチという高額市場が簡単に開けるとは思えない。
 その一方で、17インチでは、韓国のコストリーダーが果敢な価格設定をしてくる。今迄培った技術を活かせるかは、この動きへの対応で大きく左右されそうだ。

 (注) ちなみに、韓国のサムスンが日本で上市している17インチは輝度は170cd/m2、視野角は上下80度・左右80度、LGの15.1インチは輝度は200cd/m2、視野角は上下90度・左右120度である。バックライトの増加は熱の問題があるから、ファンをつけるのなら別だが、簡単に増やせるわけではない。コストはかかるが、視野角はフィルム貼りでも拡大可能だ。しかし、上下160度はかなりハイレベルな数字である。


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