↑ トップ頁へ |
2000.7.5 |
|
|
液晶ディスプレーで飛躍しそうな韓国企業…液晶ディスプレーでの韓国企業の成功の理由を、果敢な設備投資と見なす人が多い。確かに、低コスト競争のイメージが強いからやむを得ない面もあるが、自らの発想で他社を見るから、そう考えてしまうのではないか。よく眺めると、サムスンのパネル大型化路線は、的確なロードマップ展開にのっとったものだ。上位世代開発で先行し、生産コストで差をつけるというDRAM競争のマネジメント経験を生かした展開ともいえる。当然ながら、常時、業界ナンバー3以内であることを必須条件とした動きだ。トップグループに踊り出るのは当然だ。極めて戦略的な動きといえよう。 まずは、ターゲットだが、最大市場のノートパソコン用をメインにしている。当然だろう。 99年のノートブックパソコン市場でのリーダーは、小型がソニー、中型がIBM、大型がDellだった。サムスンの動きは定石通りだ。大型のDellを最重要顧客と考えて動いている。この関係を梃子に、大量生産・低価格化を図っている。大型品で先行し、コストリーダーの地位獲得が戦略の要諦だ。このストーリーに沿った技術マネジメントが図られているようだ。 ノートパソコン用液晶ディスプレーはパネルの大型化といっても限度がある。おそらく16〜17インチ止まりだろう。この極限でリーダーになることが極めて重要だ。99年段階で、大型品は15インチがほとんどだが、画素数は1024×768である。ほぼ標準といえるだろう。画素数が標準として決まってしまえば、低コスト化を図れば圧倒的地位が築ける。あとは、サイズを17インチに近づけるのが得策といえよう。但し17インチ搭載が可能なら、画素数を1280×1024にもってくることも一案といえる。この両者で圧倒的な低価格品を提供すれば、リーダーの地位は安泰といえよう。 従って、サムスンはここに全力投球している。2000年に入り、15インチではプライス・リーダーの地位を獲得したようだ。さらに17インチに迫る製品を先駆けて上市し、低価格化に邁進している。まさに戦略通りといえよう。(もっとも、さらに高精細化するニーズも確かにあり、他社から1400×1050や1600×1200も登場してはいる。2000年にはこのタイプ向けのワンチップドライバーも開発済みだ。しかし、パソコンが一般家庭に急速に普及し始めた。こうなると、高価格高精細化の動きより、低価格化が優先される。画素数1024×768でのコストダウンと高品質化が勝負となる。) 2000年後半から急速に伸びると見られるノートブック用16〜17インチ製品で先行する意義は極めて大きい。これが、液晶ディスプレー産業における鍵となるポジションだからだ。ノートパソコンの最大型ということは、デスクトップの最小と見ることもできる。従って、デスクトップは17インチが最小で、おそらく24インチ程度までがラインに揃うことになろう。といっても価格面からデスクトップ用の大型品市場はかなり先のことだ。ところが、17インチだけは違う。17インチの価格を15インチ並に引き下げることは、そう難しくないからだ。基板の大きさと、現行の製造装置を考えれば、16〜17インチは結構高効率なのである。これより上のサイズは、基板取りを変える必要がありコスト構造が変化するから、すぐにはコスト低減ができかねる。従って、今のままなら17インチがデスクトップ型液晶ディスプレーの標準となる可能性が高い。 つまり、16〜17インチが液晶ディスプレーの戦いの天王山なのだ。 パソコン用の市場で優位に立つことができれば、次のメインターゲット市場は必然的にこれから開けるTV用フラットディスプレーとなる。このポテンシャルは膨大だ。17インチを家庭用価格に下げれば、液晶TV普及は時間の問題といえよう。(17インチの解像度は1280×1024である。カラー表示が優れていれば素晴らしい表示装置である。) 従って、17インチ製品で一早く生産し大量生産に踏み切る意義は極めて大きい。歩留まり向上の経験カーブを適用するなら、大量生産可能な先行者は圧倒的なコスト優位に立つことになる。装置の抜本的変更や画期的製造方法を考え出さない限り、遅れている15インチメーカーは苦しくなろう。 技術力検証の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2004 RandDManagement.com |