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2000.10.11
 
 


先細りのCRT事業…

 CRTの世界市場で、日本企業のシェアは90年頃までは8割以上あると言われていた。TVの強みはモニタでも発揮されると考えられていた。
 ところが、99年にはシェアは2割を切ったようだ。ソニー、東芝、三菱、NEC、日立、松下といった錚々たる大企業が競争する市場なのだが、事業規模が縮小しているのである。

 といっても、市場が縮小している訳ではない。一見、成熟しているように見えるが、高度化と情報化で高解像度CRT需要が伸びている。中国大陸、インド、中南米などの新しい市場も成長している。
 この市場は、米国が4割程度を占め、欧州が2割、日本が1割と推定されている。明らかに、日本企業は競争力を失ったのである。

 今、ホットな市場は中国本土である。2000年は800万本から1000万本の市場に達すると言われている。急成長しているため、予測がぶれる。モニター用CRTの世界市場は1億1,000万から2,000万本レベルといわれているから、その大きさがわかろう。ここでは、フィリップス、サムスン(韓国)、AOC(台湾)が3大ブランドで、日本ブランドはマイナーだ。

 日本企業はコストで太刀打ちできないから、技術で先を走る以外に生き残りの道はありえない。しかし、平面ブラウン管では先を走れる期間は極くわずかだった。大型化でも、事態は変わらなかった。
 現在の主流は画素数1,024x768 (XGA)の15インチから17インチCDTだが、日本企業優位とはいえない状態だ。
 そのため、日本企業は、細精度表示で先駆けようとの試みを続けている。すでに、17から21インチで1,270x1,024 (SXGA)への動きが急だ。さらには、2,048x1,536 (QXGA)や2,560x2,048 (QSXGA)に進むことになる。500万画素の実現が見えてきた。

 この動きは、半導体のDRAMと似ている。細精度化競争で先を走っても、すぐ追いつかれる。起死回生は難しい。


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