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2001.8.2
 
 


先端スーパーコンピュータ競争(2)…

 2001年6月に発表された世界で最高の処理能力を持つコンピュータのリストを見ると、100位までで日立、NEC、富士通のコンピュータが23件を占めている。それなりの地位、あるいは結構良い位置で競争しているように見える。(http://www.top500.org/list/2001/06/)

 しかし、問題は応用領域である。特殊分野に隔たっているようだ。

 5位の日立のコンピュータは東大、8位のNECは阪大という状況が象徴しているが、日本企業はアカデミアと研究開発の世界で好位置を確保しているだけだ。科学技術のコンピューティングは、確かに先端ではあるがその市場は全体からみれば極く一部である。本命は、大きな市場である産業用途だ。ところが、ここへは、浸透できていないようだ。

 この分野の競争は従来とは異なる世界である。全てがリストアップされているとは言い難いから、この報告を、鵜呑みにするのは危険だが、リストの500位までで産業用途コンピュータを見ると傾向がつかめる。

 ここでも、IBMは、先に述べたSP Power3モデルに、1GHzのNetfinity Cluster PIIIモデルも加えて確固たる地位を築いている。しかし、リストを見ると、サンやヒューレット・パッカードが産業界に非常に多くの顧客を抱えていることがわかる。これに、コンパックが加わる。WWWサーバの時代になると、こうした企業が優位性を発揮する。特定のプロセッサーをベースにクラスター型のコンピューティング技術を磨いている企業が活躍する時代なのである。従って、革新的なクラスター構造を考案できない限り、汎用プロセッサー開発に係わってこなかった企業はこの世界では力の発揮しようがない。

 しかも、日本では、このようなコンピューティング・ニーズを持つ顧客が極端に少ない。クラスター型コンピュータ技術での遅れは、すべての産業にとって致命傷になると説く人も僅かだ。

 世界の奇跡と賞賛された日本のコンピュータ企業も、今後はサービス企業化して、コンピュータ技術面では地盤沈下が続くのであろう。


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