↑ トップ頁へ |
2001.10.10 |
|
|
Sarnoffの底力…最近のテレビディスプレー技術動向の議論の焦点は、プラズマと有機ELだ。これに、液晶テレビとホームシアター用大型プロジェクターテレビを加えれば、将来のディスプレーは勢揃いとなる。小型は有機EL、中型は液晶、大型はプラズマ、超大型がプロジェクターと、すみわけが進むとの予想が主流だ。従来型のCRT(ブラウン管)は、安価品以外は、次第に薄型ディスプレーに代替されていくと考えられているため、研究開発は極めて盛んだ。しかし、そう簡単に代替が進むだろうか。 13インチCRTテレビの最安値品は、小売価格がなんと1万円を切る。テレビは標準品で2〜3万円の商品になってしまった。液晶テレビは買い易い価格帯になってきたとはいうものの、このレベルでの価格競争はできそうにない。画面も美しくなったが、CRTテレビを超えたとはいえまい。 大型品でも、CRTテレビなら20万円程度で購入できるし、画面も驚く程美しい。一方、プラズマは50万円台から100万円を超えるものまである。家庭用としては極めて高額だ。今後のコストダウンを見こんでも、1インチ1万円程度が限界だろうから、コストパフォーマンスではとてもCRTテレビに太刀打ちできそうにない。 これほどコストパフォーマンスが良いにもかかわらず、CRTテレビが代替される理由は、奥行きが嵩みすぎる点にある。確かに、大型画面の場合は、狭い部屋では邪魔な位の大きさだ。 ところが、2001年8月、32インチCRTテレビの奥行きをビデオデッキ並に減らす技術が完成したとの発表があった。(http://www.sarnoff.com/news/081501.html/)この奥行き半減技術は既存の製造ラインを活用できるため、コストは10%〜15%増程度だという。こうなると、液晶やプラズマが薄さの優位性は大きく揺らぐ。薄いといっても、ディスプレーを支える台を考えれば、それほどの差がなくなるからだ。 この衝撃的な発表をしたのはSarnoff Corporationである。カラーテレビを発明した研究所として有名だ。先を走っていたが、テレビ分野のリーダーの地位は日本企業に奪われてしまった。日本企業は、トリニトロンやブラックストライプといった新技術を開発すると共に、製造技術で圧倒的な優位性を発揮し、世界を席巻したのである。そして、液晶テレビやプラズマディスプレーテレビは日本企業が先を走ることになった。 ここで、突然、名門Sarnoffが革新技術で、CRT以外の研究開発に注力している日本企業に挑戦してきたのである。 技術力検証の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2004 RandDManagement.com |