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2001.11.13
 
 


加速化するナノコンピューター研究…

 シリコンをベースとした半導体チップの進歩は凄まじいが、限界に近づいてきた。物理学に従えば、0.07μmでトランジスタの機能が発揮できなくなると考えられるからだ。現在の細密化スピードなら10年少々で新技術が必要となる。
 代替技術としては、ナノチューブ、ナノワイヤー、単分子膜が有望という声が大きい。そのため、世界中でナノテクノロジーの基礎研究が始まっている。しかし、現段階はまだ基礎研究だから、応用までには10年以上かかる、との発言が多い。遠い将来の技術と見ている人が大半なのである。

 ところが、2001年4月、IBMワトソン研が具体的にナノチューブのチップ応用コンセプトをSience誌に発表した。最先端コンピュータの世界を切り拓いてきた自負のもと、この分野で先頭を走る気概を明瞭にしたといえよう。しかも、数年で実用化できそなうな印象さえ与える内容である。(http://www.research.ibm.com/resources/news/20010425_Carbon_Nanotubes.shtml/)
 ワトソン研の発表に続き、Sience誌にルーセントのベル研の成果が発表された。単分子膜(ベル研)、ナノチューブ(蘭・デルフト大)、ナノワイヤ(ハーバード大)の揃い踏みである。どの技術が主流になるかはわからないが、ナノコンピュータ実現可能性の高さを実感させる発表である。("Wiring Up Circuits for Nanocomputer"; Science Magazine 11/9, 2001)

 ワトソン研、ベル研の両雄が注力状況を見せつけたことで、じっくり基礎研究を固めるというより、熾烈な応用競争開始の雰囲気が醸成され始めた、といえよう。基礎では、日本は先頭を走ってきたが、応用はスピード競争になりそうだ。こうなると、基礎研究での優位が通用するとは限るまい。


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