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2002.7.20
 
 


DVD録画メディアは短命…

 2002年に入り、DVD記録規格標準化をめぐる動きが騒がしい。結局のところ、まとまらずに見切り発車せざるを得まい。次の大型メディア、ホログラフィク記録媒体が動き始めたから、待っている訳にはいかない。

 ホログラムによる記録は何十年も語られてきた、大量記録が可能な夢の技術だった。「夢」といわれる所以は、安価で小型かつ可動な状態にするのが難しかったからだ。
 米国では、DRAPA(軍研)を中心として、積極的な研究開発が行われてきた。IBM、ベル研、や大学などが参加し、国をあげてPRISM(メディア対象:1994年から)とHDDS(装置:1995年から)の2つのプログラムを推進してきた。しかし、2000年には消滅したため、やはり「夢」で終わったと見る人が多かった。

 しかし、2000年に、参加メンバーのポラロイドとルーセント(ベル研)からスピンアウト・ベンチャーが登場した。ポラロイドからはAprilis、ルーセントはインフェーズ・テクノロジーズである。

 このうちの1社、インフェーズ・テクノロジーズが2002年に入り大きな動きを見せた。ルーセントとイメーションに加え、Signal Lake、Madison Dearborn Partners、Newton Technology Partnersといった投資グループの支持のもと、経営チームに、データ・ストレージ開発数十年の経験者や業界企業の経営幹部といったプロフェッショナルを揃えたのだ。本格的な経営体制を構築した後、動きはすばやく、トレードショウや学会での講演を積極的に推進し始めた。 (http://www.inphase-tech.com/news/events/index.html)
 といっても、口先だけでなく、実機のデモンストレーションが行われた。NABでの実演録によれば、ライトワンスの100Gバイト容量のメディアで転送速度20Mの機器だ。(http://www.kikoh.co.jp/iroiro/iro020412.html) DVD類似のメディアと機器なのでコストを抑えることができるという。高精度テレビ録画が最初のターゲットだろうが、実用化は2003年末、2004年本格上市を目標としている。
 このスピードで進むため、業界でパートナーを募り、一気に市場を立ち上げる目論見だろう。
 ビジネスが立ちあがると、ストレージ市場は大きく変わる可能性が高い。技術が進めば、現在のDVDのようなメディアと装置を使って、記憶容量がテラ、転送速度がギガレベルを実現できるからだ。

 日本の大企業も、何件かの成果を発表してきたが、新しい流れを感じさせるものはなかった。

 唯一の例外は、1999年に設立された社員16名のオプトウエアというベンチャーである。ソニーでMDを開発した技術者の起業だ。(http://www.optware.co.jp/ja/index.html) こちらは、DARPAの研究開発を失敗と明確に指摘しており、「偏光コリニア」技術で挑戦している。DVD製造装置で作ることが可能とされているから、コストでは優位といえよう。200Gバイトの記録容量のメディアと装置を開発中だという。2003年には放送業界用の記録再生装置を上市し、2005年にホーム・サーバ用外部記憶装置を上市する計画だ。(2002/05/06 日経エレクトロ二クス 「ホログラフィック元年に向けオプトウエアが200Gで先手」) このため、2002年6月にはベンチャーキャピタルから5億5000万円の資金調達を行った。

 日本メーカーはDVDの規格論争に忙しいが、ベンチャーのホログラフィク記録メディアの商用化の動きが本格化し始めている。この流れが立ちあがれば、日本企業が誇るDVD録画は不要な技術になりかねまい。


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