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2002.5.16
 
 


時代の流れに逆行しかねない日本の通信技術…

 「インターネット時代への対応」とか、「ネット事業化への邁進」という経営方針を打ち出す企業が増えた。スローガンではなく、実際、通信技術の開発や応用に注力しているから、時代の波に乗っているように見える。しかし、じっくり見ると、そうとも言えないのだ。

 インターネット化の潮流に乗るためには、技術ベースをインターネット・プロトコル(IP)に置く必要がある。IP網に乗せ、共通インフラを活用することで、安価で相互交流し易い仕組みをつくることが肝要なのである。通信インフラ毎に違う仕組みを構築する旧来方式とは、考え方が根本から違う。

 実は、「インターネット時代への対応」といっても、この観点の技術開発方針を採用しない企業が多い。ケータイとAVの世界では、こうした孤立化路線が特に目立つ。相変わらず、「個別通信網」での先端技術を追い求めている。これでは、長期的には優位性確保は難しいと思われる。

 規格の主導権争いがニュースを賑わすが、「個別通信網」対抗の競争だ。例えば、IEEE-1394-1995規格で家庭内ネットワーク化を狙うと言っても、データ圧縮方式は揃っていない。TVとDVデッキが繋がらなかったり、MDデッキとも通信できなかったりする。このような相互交流しにくい技術が広く使われるだろうか。
 ケータイ技術も無線通信の範疇では孤立型だ。IPと親和性が高いイーサネットを基盤とした無線技術とは正反対である。IEEE-802.11bなら、全国カバーに2〜3百億円程度の投資で、数メガの無線通信が実現できる。これを活用したIP電話が登場したら、ケータイではとても勝負になるまい。

 時代の流れに逆行しかねない技術展開をしている可能性さえある。このような状況で、日本の通信技術力を議論しても意味は薄い。


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