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2002.7.25
 
 


白物家電ネットワークの問題点…

 2002年7月、突如、白物家電ネットワーク「ECHONET」が話題に登場した。(http://www.zdnet.co.jp/broadband/0207/24/echonet.html; http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020725-00000087-mai-bus_all)
 家電大手企業2社の研究成果発表会で、「2003年にトータルなネットワークシステムを提供」との発言があり、ついに具体的歩みが始まった、と注目を浴びたのである。

 このシステムは、宅外から指示・確認を行うインターネット接続ケータイと、特小無線ネット下でプライベート・アドレスを持つ宅内の3機器群と、サーバから構成されている。
 ●住宅設備機器群:環境設定・管理(エアコンの温度設定変更)
 ●見守り安心端末群:監視)
 ●ネット家電機器群:ソフトのダウンロード(電子レンジ用料理レシピ、洗濯機の洗濯メニュー)
 上に示したのは発表での活用例だが、古くから語られてきたものだ。にもかかわらず注目を浴びた理由は、キーデバイス「ECHONET準拠特定小電力無線アダプタ」と宅内サーバ「情報コントローラー」が登場したからだ。代表メーカー2社の協力体制の成果が発表されたので、大手企業が本気になって動いている、と目をひいたのである。

 この発表を見て、家庭のIT化促進、と拍手する人も多い。その一方、これでは産業活性化は困難、とがっかりした人もいる。
 その理由が『白物』構想だ。トータルなコンセプトが感じられないから、どうしても、デバイスをつけて付加価値を高めた方針に見える。「オープン」と語るが、自社のテリトリー強化に映る。
 例えば、無線デバイスは電力メーター自動検針用ユニットに似ているが、検針は概念には入っていない。
 新サービス提供なら、課金の仕組みがある筈だが、これも、まったく語られていない。新産業創出を考えているなら、当然入りそうなものが全く語られない。
 サーバを設置するつもりなら、既存のパソコンとの関係が問題になるが、この件も明瞭ではない。ソフトのダウンロードをケータイ並の小通信量ネット経由で行う考え方にも疑問を感じる。
 他の業界と絡む問題は全く不明だ。これでは、家庭内ネットワーク構築でリーダーシップを発揮するのは難しいだろう。

 ECHONETの活動は長い。規格バージョンはVer3.00まで進んではいるが、いまもって電力線通信を押す人もあれば、Bluetooth組み込み家電の普及に注力する企業もある。もともとエネルギー節約で立ちあがったプログラムだが、白物家電をネットワークで制御する利点があるとも思えない。(http://www.echonet.gr.jp/1_echo/index.htm) 活動は活発だが、ビジョンは次第に不鮮明になってきたといえよう。
 2002年にオープンしたJEITAハウスを見るとその状況がよくわかる。「今すぐ手に入る未来!」が並んでいるのだが、よく見れば、業界各社を集めて、ばらばらのコンセプトを一緒に展示したものともいえる。(http://www.eclipse-jp.com/jeita/index2.html)
 ネットワーク化社会では、このような同床異夢の寄せ集め活動は進展に繋がらない。にもかかわらず、このような方向に発展するのが日本技術の特徴である。全体のア−キテクチャーを欠いているにもかかわらず、そう感じない。しかも、その欠陥の重大性に気付いていない。

 少なくともサーバの役割(拡張性)とネットワーク構成を明確にしない限り、ビジネス像は見えない。ビジネス像なき統一は必ず無理が生じる。


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