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2002.8.23
 
 


中国半導体企業の勃興…

 200ミリから300ミリへの、ウエハ大口径化が一般化した。微細加工も着々と進んでおり、すでに0.13ミクロンルールは当たり前である。このことは、ウエハ1枚当りの収量増加により、1ロット生産の枚数は減少することを意味する。少ない回数で大量のウエハ処理を進める体制から、少量枚数ロットの多数回生産体制に変わってくるといえる。
 この変化を読みとっていた半導体メーカー・装置メーカーは躍進している。

 同一製品の大量生産での戦いなら、多少高額であっても、効率・収率向上が図れるカスタムメイドの装置の導入で優位性発揮ができた。ところが、装置が高度化し投資額が膨れ上がってくると、この方策が利かなくなる。低価格な装置を使用したり、トータルコスト低減可能なコンセプトに適合する装置を導入した方が、優位性が発揮しやすくなったのである。
 このため、製造装置はカスタム品でなく、ハイテク標準品の活用が進む。フル稼動しやすい、小ロット生産対応可能なタイプの方が主流になる。又、高額なクリーン環境維持コスト低減を目指し、処理プロセスをできる限り統合したコンパクトな装置が求められる。日進月歩な技術の発展を考えれば、製造ラインに簡単に嵌め込めたり、外部からメンテナンスが可能な装置の方が望ましい。
 このような要求に応えて、的確な装置を提供した装置企業がシェアを伸ばした。特に、装置を大量に受注した企業は圧倒的優位に立つことになる。装置の標準化ができているから、製造の外注化もできており、短期間に大量納入に対応できる。しかも、その後、受注落ち込みが到来しても、損益分岐点は低いから、十分な収益を実現できる。この結果、装置産業は、上位企業2〜3社へと集中が進む。

 上位の装置メーカーに標準モデルを発注しなかった半導体メーカーは、高額な独自設備で戦うことになる。しかも、機器調整に膨大な手間がかかる。装置が異なるから、外注生産はトラブルが多く難しい。細かな点での技術の先進性を実現しても、とてつもない高コスト体質に陥る。もともと、アップ・ダウンが激しい市場であるから、市場ダウンに直面したとたん、経営は行き詰まる。

 2001年から、中国で大型半導体工場が次々と立ちあがってきた。SMIC(上海中芯集体電路製造有限公司:http://www.smics.com/aboutintroen.asp)、GSMC(上海宏力半導体製造有限公司)、HSMC(北京華夏半導体製造有限公司)である。すでに、第一期投資として各々13〜15億米ドルが投下されている。2003年には合計で70億米ドル程度の投資が予想されている。
 これらは、半導体メーカーの直接進出ではなく、外部資金を活用した、完全なファウンドリーメーカーである。このため、使用される装置や製造プロセスは先端だが標準的なものとなる。
 しかも、高度な生産プロセス管理を進めている。立地は中国だが、通信ラインを介して世界から生産状況が確認できる。様々な半導体メーカーや台湾のファウンドリーが関与しており、世界のリーダーの下請けの役割を担っている。このため、本格稼動が始まると、半導体の産業構造が大きく変わるきっかけになりそうである。

 この流れにかんでいるのは、先端製造プロセス技術開発が可能な大手半導体メーカーであり、受注する装置メーカーとともに業界標準を形成することになろう。同時に、生産キャパシティの有効活用を図ることになろう。
 又、ファウンドリーを利用する開発ベンチャーも一気に勃興してくる。
 すべてにプラスに働く、好循環が始まる。
 従って、この流れを傍観していると、大手メーカーであっても、急速に地位を失うことになろう。


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