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2002.10.17
 
 


グリッドの時代…

 2002年10月GGF6ワークショップが開催され、多くの参加者が集まった。(http://www.globalgridforum.org/Meetings/ggf6/Participants/index.htm) いよいよグリッドコンピューティングの時代が本格化しそうだ。

 パソコンの高速化が進み、CPUクロックが3ギガレベルに到達しつつあるため動きが急だ。汎用部品から作れるパソコンは極めて安価であり、これにオープンなOSと並列処理ソフトさえ加えれば、クラスタ計算が簡単にできるからだ。しかも、通信容量は今や数ギガが簡単に実現できるから、グリッドコンピューティングへの流れは極く自然といえよう。

 といっても、グリッドコンピューティングといえば、米国を中心とした、大型科学技術計算のための高速計算技術というイメージが強い。コンピュータの処理速度がテラからペタに進む時代にさしかかったために、こうした活動は強化されており、米国外でも数多くの科学技術プロジェクトが動くようになった。
 特に、ゲノムデータや、乳癌判定についてのプロジェクトでは、すでに実験段階から現実的な活動へ移行しつつある。進歩のスピードは極めて速い。ニーズから見れば、2005年頃までに、ゲノム領域ではグリッドコンピューティングが一般的になる可能性が高い。

 このため、日本でも、グリッド技術の状況報告が発行されている。
 その内容は「米国はリーダーだが、遅れているとはいえ、日本もそれなりに地位を築いている。」というプロトタイプ型。
 ストーリーに合わないから、オーストラリアやシンガポールの動き、実質的にコンピュータメーカがいない欧州の戦略について、深い分析をするつもりはないようだ。産業界での試行や活用アイデアについての情報もほとんどない。
 そのため、グリッドコンピューティングの応用は科学分野から開ける、と考えがちだ。

 しかし、ビジネスの現場感覚は違うのではなかろうか。
 市場ニーズ重視派の企業は、早くから「TCP/IPの主流化→キーアプリとしてのメール→ウエブの爆発→グリッドによるEビジネスの時代」という流れを語っている。市場はすぐに開けるとの予測だ。
 すでに、膨大なコンピュータ資源を所有している企業は多い。こうした企業にとって、グリッドコンピューティングは魅力的である。空いている資源を利用し低コストのコンピューティングが実現できるからだ。

 例えば、Platformはグリッドコンピューティング・ソリューションを1996年から展開しており、次々と「Platform Globus」新製品を生み出している。(http://www.platform.com/grid/index.asp) Globusプロジェクトは産業化につきすすんでいるといえよう。
 対象としているコンピュータは、SGI(IRIX)、IBM(AIX)、コンパック(Tru64)、HP(HP-UX)、SUN(Solaris)、オープン(Linux)だ。
 グリッドコンピューティングでは、ワークロード・マネジメント技術が重要になる。異種のワークロード・マネジメント・ツールを融合する必要に迫られる。従って、多種のシステムがいつまでも並存する時代は終わる可能性が高い。
 CPU・OSの選択が極めて重要になっているといえよう。


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