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2002.11.3
 
 


ケータイ端末メーカーの憂鬱…

 世界に先駆けて始まった第3世代携帯電話FOMAの加入者がさっぱり増えない。2003年3月末までの契約目標は138万件だが、2002年9月になっても14万にも達しない。増加が少なく、発表数字の単位を百にせざるを得ない状況だ。基幹の関東地区に至っては、1,300件の減少だ。(http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/sub.html)

 2002年に入り、5月には音楽・映像配信、7月にはデュアルネットワーク、ホットスポットといった新サービスが始まり、PDA型端末も登場した。エリアも年末には人口カバー率90%に達するという。これで、環境はほぼ整った。2002年後半で一気に契約増加との目論みだろうが、今のところその兆しはない。

 ここまで不人気ということは、現行のケータイを越える魅力が無いと考えるべきだろう。端末モデルを増やしたり、欠点(電池の持ち時間、ディスプレイ解像度、操作性)を克服しても、効果はあがるまい。
 驚くような新機軸提案か、現行の代替政策を始めない限り、FOMAの復活は難しかろう。

 2001年9月に発表された当初の目標は、1兆円の設備投資を行い、2004年3月には人口カバー率97%、600万契約を実現するというもの。今のままなら、画餅に終わる。
 といっても、通信キャリアはケータイの収益で潤い続けているし、設備投資需要で沸く基地局販売側は深刻な問題ではなかろう。しかし、一緒に研究開発させられる端末メーカーはたまったものではない。月間数千台の市場で新製品開発を強いられ、貴重な資源を無駄遣いさせられる。このまま続ければ、日本の機器メーカーは体力を消耗し、国際競争力を失う。

 一方の対抗馬CDMA2000は、4月から始まったが、10月には早くも300万を突破した。代替が進んでいるから、桁違いの普及だ。(http://www.kddi.com/release/2002/1022-2/index.html)
 世界合計加入者数も2001年1月の16,000が、2002年8月には1,678万に達した。
 ちなみに、現世代のCDMAも1億2,700万を越えた。欧州ではほとんど使われていないが、確実に上昇基調にある。2002年7月までの1年間だけで3千万の増加である。 (http://www.cdg.org/world/cdma_world_subscriber.asp)

 2001年期は日本企業は軒並み赤字化したが、CDMA携帯電話でシェア1位のサムスンは好業績を維持できた。グローバルな携帯市場は巨大だ。日本独自のケータイ製品開発に追われてきた日本企業は、こうした海外市場のチャンスを逃し続けてきた。
 国内市場でも、加入者数増加のピークはとうに過ぎ、成長鈍化が著しい。そのなかで、新製品開発競争に明け暮れていれば、将来は危うい。
 といって、代替予定のFOMAの国内市場は一向に開かないし、海外市場はさらに不透明だ。

 これ以上日本独自の標準に資源を投入し続けるべきか、思案のしどころといえよう。

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