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2003.3.3
 
 


好調な米国ゲームソフト企業…

 ゲーム分野は、日本企業が優位性を発揮している産業と言われている。

 確かに、ハード分野では、プレイステーションが圧倒的地位を確立している。プレイステーションは2002年末で累計9522万台、プレイステーション2は、2003年1月15日現在の出荷台数が5003万台だ。 (http://www.scei.co.jp/corporate/data/bizdataps.html http://www.scei.co.jp/corporate/data/bizdataps2.html)

 ハードだけでなく、ゲームソフトに関しても、日本企業優勢と言われ続けてきた。一時は、世界市場の過半を占めていた。

 ところが、最近、この状況が一変した。海外では日本製ソフトはマイナーな地位に落ち込んでいる。

 その一方で、米国のゲームソフト企業は絶好調だ。
 例えば、Eelectirc Artsの2002年度の売上は対前年比で3割増の17億ドルに達している。北米だけで、10億ドルの売上だ。
 驚きは、ハリーポッター(Harry Potter and the Sorcerer's Stone)の大ヒットだ。全世界で、5ヶ月内に、930万本を販売したという。小売末端市場で考えれば、500億円規模を越えている。 (http://media.corporate-ir.net/media_files/NSD/ERTS/reports/AnnualReportFY02.pdf)

 こうした数字を見ると、ゲーム産業は、映画以上の規模に達しているのは間違いないと思われる。エンタテインメントの主流は、ゲームになったのである。

 ところが、ゲーム産業の成長と反比例する形で、日本のゲームソフト企業は海外市場で不振状況に陥った。このため、国内市場に注力しているようで、今や、日本のゲーム市場は、鎖国状態に近い。

 こうなった理由は、はっきりしている。
 ゲームが映画並の質量に進化したから、日本企業の強みが海外で発揮できなくなったのである。
 かつてのゲームは、小規模なだった。従って、ちょっとした華麗な動きや、新しいアイデアをとり入れるだけで、差別化に繋がった。
 ところが、DVD時代に入ると、内容量が膨大になった。巨大化すれば、衝撃を与える映像や、膨大な構成が、差別化の鍵となる。ゲームがハリウッド型に変わったといえる。
 シナリオ、映像、音楽、アニメーション、等の総合化が始まっているため、小さな領域での優位性では勝てなくなってきたのだ。

 その上、日本のハンディキャップがボディーブローのように効いてきた。
 スポーツものが、定番化してきたからだ。日本のスポーツは世界ではすべてマイナーな地位にある。野球にしても、一番の魅力ある題材は大リーグだ。いかに優れたソフトでも、セ/パリーグものでは、世界には通用しない。ゴルフプレーヤーもタイガーウッズならどこでも通用するが、日本のプレーヤー名では、とても勝負になるまい。

 しかも、日本は、ゲームソフト製作サポートツール(オーサリング環境)の開発力も弱体だ。次世代といわれるオンラインゲームについても、先進国は韓国である。
 モーションキャプチャー技術や、AIによる応答技術といった、先端で挑戦するとか、他言語表示/音声出力や翻訳ソフトの適用環境を整備しなければ、日本のソフト産業は世界ではマイナーな地位に落ち込みかねまい。


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