↑ トップ頁へ

2003.4.27
 
 


家電エンジニア活用がチャンスの源泉…

 日本の家電エレクトロニクス企業が飛躍を賭ける時が来たようだ。

 このように話すと、すぐに大型ディスプレー製品事業への徹底注力をイメージする人が多い。
 液晶TVやプラズマTVは、購入して即座に楽しむことができる典型的な家電商品だから、家電王国日本が力を発揮できる分野と考えて当然かもしれない。
 確かに、その可能性はある。材料、部品、製造装置分野で力を持つ、日本メーカーの力を借りれば、優位に立てるからだ。
 ・・・しかし、こうした考え方は過去の成功物語といえよう。

 今や、材料、部品、製造装置はオープン市場になり、日本企業同士の関係を優先する習慣は消えつつある。日本国内で閉じていた企業のネットワークが急速にグローバル化したため、日本企業であることのメリットは、「日本製品なら高品質」というイメージだけになってきた。
 このままイメージだけに頼っていれば、負け組み転落必至だ。勝ち残るためには、独自の作り方や、自社考案の製造装置で優位を実現するしかないのである。

 それでは、歴史ある「家電技術」を生かせるチャンスは消え去ったのだろうか。

 この答えは、イエスでもありノーでもある。

 単純な家電商品では、チャンスがあるのは、スタイリッシュなデザイン性位で、「家電技術」だけで飛躍を狙うことは無理だと思う。しかし、家電化できそうな複雑な商品があるなら、全く逆ではないだろうか。

 ようやく、そのような千載一隅のチャンスが巡ってきた。
 Microsoftが投入した「Windows Media Center」を、パソコンメーカーが次々と製品化し始めたからだ。もちろん、パソコン産業が家電市場を伺う動きである。単純に見れば、これは家電メーカーにとっては脅威である。しかし、見方を変えればチャンスともいえる。
 パソコンがリビングルームに入るということは、家電とコンピュータの間にあった壁が崩れることを意味する。このような「動乱」の時には、誰にもにチャンスがある。家電側がパソコンをとり込んで飛躍するシナリオも成り立つのだ。

 すでに、Media Centerパソコンは、一般消費者のホームエンターテイメントに十分に応えることができる。といっても、現状では、すぐに使える機械とは言い難い。しかし、必要機能が揃っているから、ソフトの改良で解決できる問題といえる。パソコンと家電の融合ができる体制は整ったのである。
 ところが、いくらソフトを改良しても、Media Centerパソコンの普及には壁がある。
 一般消費者がすぐに使える商品にするには、ソフトだけでは解決できない問題があるからだ。移動性や置き場所、使い方に合うハードが提供されなければ、一般消費者がとびつく商品にはならないのである。

 要するに、どのような性能の部品を、どのような配置で組みあげるべきか、で勝負することになる。こうした競争なら、培ってきた家電技術の「粋」が100%生かせる筈だ。

 今こそ、日本の家電企業が蓄積してきた技術力を活用して、飛躍を図るべき時といえよう。市場立ちあがり時点では、エンジニアの数が勝負の分かれ目になる。従って、家電部門のエンジニアをコンピュータ部門に異動させ、融合製品開発で一気に攻勢をかければ、勝機は自然と生まれる。
 例えば、3000人もの優秀なエンジニアを融合商品開発に集中させれば、状況は大きく変わる筈だ。しかも、そうした戦略展開が可能な企業は限られている。

 2003年は、飛躍の絶好のタイミングといえよう。もし、これを逃せば、二度とチャンスは巡ってこないかもしれない。

 技術力検証の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com