↑ トップ頁へ

2003.6.11
 
 


第4世代ケータイの意義…

 2003年5月、NTTドコモが第4世代ケータイ「Beyond IMT-2000」への伝送実験用無線局予備免許を取得した。2002年10月に屋内実験に成功しており、着々と開発が進んでいるといえよう。現在の仕様は、下りがVSF-OFCDM方式で100Mbps、上りはVSF-CDMA方式で20Mbpsである。 (http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/03/whatnew0528.html)

 ついに無線通信も、容量が光ファイバークラスになるわけだ。・・・という解説を見かける。第3世代での先駆け競争の見方と同じトーンだ。

 状況をまとめてみよう。

 もともと、第4世代の商用化は2010年〜2015年とされていた。これに会わせて、日本は、2005年には要素技術確立を目指す計画を立てている。ドコモの発表を見る限り、オン・スケジュールで進んでいるといえる。
 しかし、欧州企業の財務状況を見れば、第4世代が計画通り進むことなど考えられない。第3世代「IMT-2000」への投資が回収できそうにないからだ。資金が集まらなければ、第4世代へと動きようがあるまい。

 しかし、世界標準の動きは当初の計画通りに進んでいるといったニュースが流れると思われる。
 おそらく、ITUのWRC-03で、積極推進派(日本)が、延期論者(欧州)を押し切った、という話が伝わる。その一方で、周波数割り当てははっきりさせない。実際に体制は整わないのだが、見方によっては計画通りとも読める。・・・政治の世界ではよく見かける動きとなる。
 要するに、日本は無線通信分野のリーダーと叫びたいのである。

 こうした見方は、間違いではないが、時代を読み間違いかねない。

 というのは、第4世代では、容量の段階的増大での次世代というより、全く新しい技術体系に変えることになるから、先走りより、何時移行するかの同意が、極めて重要なのである。この移行時期を社会的に意志一致できれば、産業競争力が飛躍的に上昇する。一方、曖昧にしてまま進めば、チャンスを失うかもしれない。結節点なのである。

 第4世代の技術は、社会に衝撃をもたらす力を持っている。この点を見逃してはならない。

 技術体系からいえば、第1世代をアナログ、第2世代をデジタルとするなら、その次ぎの世代はオールIPだ。現在、第3世代呼ばれているものは、デジタル技術体系のなかでの技術のバージョンアップ版にすぎない。第3世代で「W-CDMA」技術に変わる、と言っても、第2世代でもCDMA方式は動いている。要素技術が一歩進んだだけであり、無線通信で次世代の意義が見出せる訳ではない。(日本はPDC方式を使っていたから、「FOMA」の次世代技術イメージが強烈なだけである。)
 通信の世界では、仕様を変えれば膨大なインフラ更新投資が必要だから、確かに世代交替だが、意義が薄い新世代なのだ。しかも、この世代は、世界規格の統一も画餅に終わった。全く魅力がない、といっても過言ではない。

 こうした状況を考えると、第3世代は不要と言わざるを得まい。唯一意味ある投資は、現行インフラを活用しながら通信容量拡大を図れる2.5世代型の「CDMA X1」だけだ。第3世代に大型投資をする位なら、技術の筋の良い、第4世代への移行を早めるのが正論といえよう。
 オールIP化できれば、複数のネットワークが違和感なく繋がる。従って、技術上での飛躍的な進歩というより、使い方が一変すると言う方が正確だろう。

 つまり、アナログからデジタルの変化とは違い、通信のパラダイムが変わることを意味する。間違いなく通信業界の構造が一変する。

 オールIPケータイの登場で、前奏が終わり、ようやく、インターネット時代の幕開けとなる。


 技術力検証の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com