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2003.9.30
 
 


技術力で日本は優位か…

-- 産業 -- 米国優位 同レベル 日本優位
食品 31 17 11
繊維 8 4 7
パルプ/紙 0 6 3
印刷 3 1 0
医薬品 42 7 0
総合化学/化繊 17 10 2
油脂/塗料 3 8 4
他の化学 32 21 5
石油製品/石炭製品 8 4 2
プラスチック製品 8 8 4
ゴム製品 3 3 3
窯業 10 12 5
鉄鋼 10 9 14
非鉄金属 14 10 6
金属製品 15 10 8
機械 46 28 19
電子応用・電気計測機器 28 15 6
その他の電気機械器具 11 6 5
情報通信機械器具 17 5 8
電子部品/デバイス 11 8 7
自動車 17 26 8
非自動車運送用機械 7 5 6
精密機械 9 7 3
その他 7 5 5
(合計) 357 235 141
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/15/09/03091702/001/008.xls
(「わからない」と回答した企業数は除外した。)
 2003年9月、文部科学省から平成14年度版「民間企業の研究活動に関する調査報告」が発表された。
  (http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/15/09/03091702/001/005.pdf)

 このアンケート調査には、技術力の国際比較の質問が含まれている。なかなか示唆に富むデータである。
 右表に示したのは、製造業における、当該質問に対する回答企業の社数である。実際の回答は細かにわかれているが、米国と日本の技術力を比べて、どちらかが優位、あるいは、そうなりそう、に該当すると回答した企業数と、両者同等との回答企業数を示した。

 優劣評価結果は、パルプ/紙、印刷、医薬品を除いて、ほとんどの産業で斑模様である。
 同じ産業に属す企業でも、日米どちらが技術優位かの判断が大きく異なることがわかる。

 実務家から見れば当然の結果である。

 各産業とも、その中味は様々な業種に分かれている。企業の担当者は、自社のポジションを考えながら評価するのが普通であり、産業全体を一括して語ることなど、滅多に無い。
 例えば、業界全体では圧倒的に優位であっても、そのなかの業種によっては劣位であることは珍しくない。もちろん逆もある。

 研究者・エンジニアから見れば、日本劣位の領域はそこらじゅうにある。日本優位の領域もあるが、業種全体をカバーする圧倒的技術力に欠けることが多い。従って、どう見るかで、米国優位にもなるし、日本優位にもなる。どうしても、評価は斑模様になる。

 しかし、日本劣位との認識を披瀝する企業がここまで多いのには驚いた。「日本の製造業強し」どころか、「弱し」と見なせる数字である。
 現実の企業活動を外から見る限りでは、危機感が薄い企業が多いが、現実を直視しているのは間違いないようだ。
 ということは、しがらみで動けないのかもしらない。

 もっとも、注目すべきは、日本優位と回答した企業の方である。
 技術力でグローバルに戦えると考える企業が141社も存在している。力づけられる数字である。
 これらの企業に、日本の産業を牽引してもらう方策を考えることが、産業技術振興策の立案といえよう。


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