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2004.1.14
 
 


スーパーコンピュータの価格破壊…

 恒例の「TOP500 List for November 2003」が発表された。NECのEarth Simulatorが1位の座を守ったこと、IntelのCPUのシェア拡大とクラスター型の躍進が特徴的といえよう。
  (http://www.top500.org/lists/2003/11/TOP500_Nov03.pdf)

 しかし、よく見ると、画期的なスーパーコンピュータが第3位にランクインしている。
 Virginia Techの「Teraflop Off the Shelf(TOTS)」である。
  (http://www.top500.org/list/2003/11/)

 1100台のMac G5(Dual 2.0GHz)を使ったテラスケールのクラスター型コンピュータである。Mellanox Technologiesが開発したスイッチ「InfiniBand」で全二重の20Gbps通信を実現し、コントロール/IP用の通信としてCisco 4500シリーズのGigabit Ethernetを用いている。
 これだけの説明では、さしたる新しさを感じないと思うが、コストパフォーマンスが驚異的である。
  (以下 http://don.cc.vt.edu/tcfslides.pdf)

 コンピュータがらみのハード予算額はなんと$5.2Mである。ハードとしては、これに建屋と電源の費用がプラスされるだけだから、おそらく、世界1低価格ではないだろうか。

 しかも、驚いたことに「homebuilt」なのだ。
 セットアップのスピードが凄い。9月にMac G5を購入し、10月にはシステムの最適化を行っている。11月にははやアプリケーションの運転開始だ。2004年1月には本稼動に入った。なんと、たったの3ヶ月でスーパーコンピュータを組み立てることができる訳だ。

 Mac G5(CPUはIBMのPowerPC 970)を採用しているが、最初から決めていたわけではない。Opteron(AMD)、Itanium2(Intel)、Sparc(Sun)もCPU候補だった。
 CPU構造は問題ではなく、短納期で、かつコストパフォーマンスが良いCPUを選定したらしい。
 [尚、先のランクで、4位はP4 Xeon 3.06GHzが2500個、5位はItanium2 1.5GHzが1936個、6位がOpeteron 2GHzが2816個と、ほぼ同じようなレベルだ。すべて、2003年のランクインである。]
 クラスター技術がかなり成熟してきたことを示すと言えよう。

 といっても、大規模クラスタは信頼性の問題がある。これは、「Deja-Vu」というソフトで対応している。
 又、ノード間の通信にOhio State University が開発した「MVAPICH(Message Passing Interface for InfiniBand on VAPI Layer)」を用いている。これらが奏効したようだ。

 大学の研究用コンピュータなので、業界の専門家によれば、足らない点もあるそうだが、たいした問題ではない。

 大学なので、おそらくソフトはオープン化される。そうなると、50台〜100台の安価なスーパーコンピュータが登場する可能性が高い。
 産業界へのインパクトは極めて大きいと思われる。


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