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2004.10.7
 
 


デジタル家電プラットフォームの戦い…

 ようやく、デジタル家電の競争が始まるようだ。

 コンピュータ産業の教訓を学べば、デジタル家電分野でも熾烈なプラットフォーム競争が始まる、と予想されていたにもかかわらず、今までは静かなものだった。せいぜいが部分的なOSの話だけだった。
 家電の雄が、OS支配を恐れていたことと、本格的な競争を避けてきたからである。
 しかし、ついに火蓋が切っておとされたようだ。

 2004年9月1日、松下電器産業がデジタル家電の統合プラットフォーム「UniPhier」を発表した。(1)

 CPUとメディアプロセッサ(統合型DSP)という2つのハードに合わせて、OS+デバイスドライバ、ミドルウエアというソフトをプラットフォームとするのは、当然の流れである。
 電話やAV商品がパソコン同様の製品開発に向かうということである。
 要するに、「プラットフォーム」商品とは、ソフトプラットフォームとハードプラットフォームを購入して、組み立てて、若干のアプリケーションを搭載しただけのものである。デザインや使い勝手で多少の違いはあるが、基本機能は同じなのである。
 ハードのアセンブルと多少のソフト開発で「プラットフォーム」商品をすぐに開発できることになるから、コスト競争力のある一部の企業が圧倒的優位を発揮することになろう。
 つまり、デジタル家電産業は、少数の高収益メガ企業が主導権を握り、他の企業は低収益化を余儀なくされる可能性が高い。

 この流れが進むということは、CPUとメディアプロセッサの寡占化が進展することを意味する。半導体開発は巨大投資が必要であるから、当然の流れだ。

 ・・・しかし、どの企業も、こうした流れを嫌い続けてきたのである。
 それぞれが、勝手なCPUとDSPチップを用い、互換性が薄いOSを使い、分野毎に独自のミドルウエアを開発してきた。
 同じOSなのに、他の家電企業製プログラムが稼動しないような仕組みを、差別化のためと称して続けてきたのである。

 又、ゲーム機器のように、膨大な数のCPUチップを生産していていても、そのチップをデジタル家電の「プラットフォーム」に使おうとはしなかった。
 次世代チップから「プラットフォーム」化を始めるつもりの、「ヘジテーション」戦略の可能性もあるが、せっかくのチャンスをつぶしたともいえる。

 消費者の立場に立てば、「プラットフォーム」商品は同一規格で低コストを実現してもらうのがベストだ。
 基本機能は日進月歩だが、そのためのチップ開発には膨大な費用がかかる。基礎部分を確定し、バージョンアップ体制を敷かなければ、膨大なコストがかかってしまう。
 様々な企業が、たいして変わらない機能にもかかわらず、別々な製品をゼロからつくり続けるのは無駄以外のなにものでもない。

 「プラットフォーム」化の動きを抑制し続けることは、原理的に無理筋なのだ。

 もしも、今回の動きをきっかけにして、チップ+OSの外販が始まると、一気に業界競争が激化する ことになろう。
 そして、業界構造は激変する。

 --- 参照 ---
(1) http://matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn040901-1/jn040901-1.html


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