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2004.10.25
 
 


プラズマテレビ事業は生き残れるか…

 2004年10月、試作品だが、縦80.4cm、横142.8cm の65インチの大型液晶テレビが登場した。(1)

 ただ大きいというだけでなく、フルハイビジョンの水平1,920×垂直1,080画素を実現した点が衝撃的である。

 この大きさで、これだけの画素を埋め込むためには、とてつもなく厳格な品質管理が必要である。
 このレベルの開発には、あと2〜3年はかかると見ていたのだが、いとも簡単に登場してきたのには驚ろかされた。

 液晶に賭けるシャープが、底力を発揮したと言えよう。(2)

 フルハイビジョン放送の画面は、水平1,920×垂直1,080画素である。
 家電では、最高精度とされるが、パソコンでは、1,280×1,024、1,400×1,050、1,600×1,200、さらには1,920×1,440まで、極く普通にサポートされており、格別に驚く値ではない。

 しかし、これは22インチや23インチといったレベルの話で、50インチを越えるような大型画面化は簡単ではない。
 現在のところ、1,920×1,080の大画面テレビは、サムスンの「LT46G15W」(3)とシャープの「LC-45GD1」(4)である。約100万円という価格設定である。

 ここいら辺りが、一般液晶テレビとして目指す最終的な大きさ、と見ていたら、目標はもっと高いところにあったようだ。

 シャープの65インチ液晶は、32インチ8枚取り用のガラス基板の2枚取りらしい。歩留まりは4乗で効いてくるから、高レベルの品質管理を実現しなければならないが、もし可能になれば、65インチはプラズマ価格より安価になるかもしれない。

 とはいえ、現実のテレビ放送の状況からいえば、フルハイビジョンはまだまだ稀である。
 そのため、垂直1,080画素要求は表立っていない。

 しかし、50インチを越える大型画面で見れば、画素数の差は、誰が見ても、画面の粗さの差として、はっきり現れる。しかも、このクラスは高価格で、顧客の要求もシビアだから、購入に当たっては、リアルハイビジョンの方が選択される可能性が高い。
 従って、フルハイビジョン放送対応か否かで、勝負がつくかもしれない。

 50インチ以上では、プラズマテレビは市場の主流から外れる可能性があるのだ。

 実際、プラズマテレビで最精度を実現している「ALIS方式」にしても、垂直方向で1,024画素が商用化されているのは、50インチ未満だけで、それ以上は768画素になる。(5)

 商用化された65型プラズマテレビも768画素だ。(6)

 日本企業は、フルハイビジョン放送対応に注力する気がないようだ。
 (Samsung SDI は、すでに、80インチの1,920×1,080画素を実現している。(7))

 その一方、液晶リアプロジェクションが浸透する。こちらは、安価な50インチ以上の大型画面化が可能である。
 基本は小型液晶だから、フルハイビジョン化はそう難しくない。

 このまま進めば、日本企業のプラズマテレビ事業はつらい状況に追い込まれるかもしれない。

 --- 参照 ---
(1) http://www.sharp.co.jp/corporate/news/041005-a.html
(2) http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/annual/pdf/2004/8-11.pdf
(3) http://www.samsung.com/jp/products/tv/tv/lt46g15w.asp
(4) http://www.sharp.co.jp/corporate/news/040614-a.html
(5) http://av.hitachi.co.jp/tv/wooo5000/characteristic/pdp.html
(6) http://panasonic.jp/viera/products/dx300/index.html
(7) http://www.samsungsdi.co.kr/contents/en/product/pdp/type01.html


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